欧州 ロシアの脅威に対抗
英独は武器の共同開発、スウェーデンは派兵
ウクライナの苦戦が欧州を緊張させている。
米国の支援が大幅に減少したことで、弾薬や防空システムの不足に陥った
ウクライナは、東部戦線で後退、首都キーウやハルキウなど主要都市は、
ロシアのミサイル攻撃を受け続けている。
この事態に、欧州各国はロシアの軍事的脅威に対抗する動きを加速させている。
23日、英国のスナク首相と会談したポーランドのトゥスク首相(右)は、
英国からの武器援助と防衛費の増額を明らかにした。
そのうえで、「プーチン大統領がNATOの結束を甘く見れば、敗北する」と述べた。
スナク首相は翌24日、就任後初めてドイツを訪問、
ショルツ首相(左)と会談して、両国がウクライナ支援を強化することで一致した。
また、両国はロシアの脅威に対抗するため、新型長距離砲を共同開発すると
発表した。
英国は今年度、過去最高となるGDPの2,5%の国防予算を決めている。
一方、先月NATOに正式加盟したスウェーデンのクリステンソン首相(右)は、
バルト三国のラトビアのシリニャ首相と会談し、
NATOの軍事任務の一環として500人の機械化部隊を
「半年間、ラトビアに派遣する」と発表した。
ラトビアは国民の28%がロシア系で、ウクライナ侵攻後ロシアに対する警戒心が
極めて高くなっている。
強力な海軍力を持つスウェーデンは、NATO加盟後バルト海でロシア海軍の監視を
強化している。
(クロアチアに到着したフランスのラファール戦闘機)
旧ユーゴから独立したクロアチアは、防空能力を強化するため、
フランスからラファール戦闘機12機を購入した。
総額は5000億円で、クロアチアにとっては独立以来最大の軍事支出になる。
NATOは、2014年にロシアがクリミアを侵略した際、
加盟国は軍事費をGDPの2%に増額することを決定したが、
加盟国(当時30か国)で、実行したのは7か国に過ぎなかった。
欧州は今、ウクライナの苦戦を見て、改めてロシアの脅威を実感している。