周庭氏指名手配、豪人作家死刑判決
不況の中国、習近平「治安強化」に狂奔
経済の崩壊が始まりつつある中国。
不動産バブルが弾けて中産階級の保有資産が激減、
北京や上海の繁華街は灯が消えた。
違法な空売りが急増する上海と深圳の株式市場は下落を続け、
春節を前に政府は市場の回復に躍起となっている。
しかし、不動産バブルの崩壊によって、
中国銀行や商工、農業、建設の4大銀行の負債が大幅に膨らんだにも関わらず、
負債総額が未公表の為、海外投資家は投資の引き揚げに動き出した。
政府は昨年末、26%と言われていた大卒者の失業率を14%と上方修正したが、
これは低賃金のため就職率の良い中卒者を加えたためだったことが
明らかになり、景気後退の実態をさらに裏付ける結果となった。
不況感が社会不安につながることを警戒する共産党は、
昨年秋から農村や国有企業、学校で「習近平思想の学習」を始めた。
このため、SNS上には「毛沢東の真似か」とか「改革開放は死んだ」という批判が
多数寄せられたが、その都度削除されている。
一方で共産党は、中国人だけでなく外国人も厳罰に処す「国家安全法」を根拠に、
現在日本人を含む多くの外国人を逮捕・拘束している。
その中の一人、中国系オーストラリア人作家の楊恒均氏は、
5年前にスパイ容疑で逮捕・投獄された。
楊氏は58歳、オーストラリアに移住後、国籍を取得、
その後、米国コロンビア大学で中国の自由や人権についての研究を行い、
論文を発表していた。
2019年、広州の空港で国家安全法違反で逮捕され、非公開裁判が行われてきた。
そして今月5日、北京人民法廷は「2年の執行猶予付き死刑判決」を下した。
判決を受けて、オーストラリアのアルバニージー首相は激怒
「判決は言語道断だ、私は怒っている。この怒りを中国に伝えた。
我々は楊氏の釈放を目指して行動する」と語った。
首相は楊氏の逮捕により悪化していた豪中関係を改善すると表明していただけに、
この判決で「中国に甘く見られた」という批判が起きている。
米国メディアは、「中国はオーストラリアの出方を読み切って、判決を出した、
2年の執行猶予付きとはそういう意味だ」との見方を伝えている。
岸田首相はスパイ容疑で拘束されている日本人の釈放に尽力しているのか、
甚だ疑問である。
自由や民主主義を唱えただけで、「スパイ」として逮捕、死刑判決を下す中国、
その中国の支配下に置かれた香港もまた中国(習近平)の意を受けて、
動き出した。
香港警察は昨日、香港民主化運動の指導者のひとりである
周庭氏に対して「指名手配」したことを明らかにして、
「香港警察に出頭しなければ、終生追跡する」と警告(脅迫)した。
逮捕後、一時釈放された周庭氏はその後カナダに入国、
昨年、「二度と香港に戻らない」ことを明らかにした。
日本語が上手く、日本が好きな周庭氏が日本を避けたのは何故か。
政治亡命を認めないことや、身の安全に不安を覚えたからだろうか。
カナダ政府を始め、世界は香港の民主化や中国の民主化を訴えた人々を
保護しなければならない。
SNSが普及して、多くの人々が自由に意見を述べ合うことが可能になった今日、
中国(香港も)は人民の口を封じようという真逆の動きに狂奔しているのだ。
習近平と中国共産党を政権の座から降ろさない限り、
アジアに自由と民主は根付かない。