紅葉狩りを諦めた人の波 | 洋左右的人生

紅葉狩りを諦めた人の波

 

         今が見頃の高尾山に外国人殺到

 

昨日(20日)は近頃耳にするオーバーツーリズムを味わった1日となった。

東京はこの日朝から快晴、ネットで

「高尾山の紅葉はこれからが見頃となる」という一文を見て、

9時半過ぎの京王線に乗った。

調布で特急に乗り換えて30分、終点の高尾山口駅に着くと

駅前は既に大勢の人で溢れていた。

奥の改札口と横にある観光案内所は人でぎっしり、

聞こえてくるのは、中国語、広東語(おそらく)、台湾語いわゆる中華圏の言語ばかり。

駅から徒歩5~6分にあるケーブルカー乗り場まで来ると長蛇の列。

年配の係員が質問する外国人に日本語で「ケーブルカー、リフトどっち?」と聞き返す。

口調がやや荒っぽい、おそらく毎日この繰り返しでストレスが溜まっているのだろう。

乗るのにどれ位かかるか、尋ねると

「チケットを買うのに40分、ケーブルカーに乗るのは更に3,40分かかる」とのこと。

写真の右手に登山道があり、4キロ弱でケーブルカーの頂上駅に着くとあるが、

心臓が回復途中なので、登山は断念した。

写真を撮りながら5,6分思案していたら、行列は駅前の土産物店の中ほどまで

あっという間に延びていた。

近くにいた子供連れの若夫婦、奥さんが「止めよう」と言い、駅へ戻って行った。

私も諦めて、駅へ戻った。

 

途中の饅頭店では、年配の女性が二言三言の英語で、

饅頭を中国系の女性グループに蒸し饅頭を”説明”していた。

2,3人が1個120円の酒蒸し饅頭を買い、その場で食べ始めた。

 

栗蒸し羊羹を買い求めながら、女性に話を聞くと、

「圧倒的に外国人、中でも中国人はバスツァーで押し寄せてきます」と言った直後

店の外に飛び出し突然、「ノー、ノー!そこはダメ」と大声を出した。

今、饅頭を食べた中国人らしき客が饅頭を入れた紙袋を

店の横に置かれた蒸篭のふたをずらして中に捨てようとしていた。

「ちょっと目を離すと、あちこちにゴミを捨てるので目が離せません」と言う。

「来てくれるのは有難いんですけどねぇ」と小声で呟くと

店の奥へと引っ込んだ。

 

蕎麦屋や土産物屋の店員にも笑顔や活気が見られない。

皆、オーバーツーリズムに疲れてしまっているのかも知れない。

それでもサービス業は笑顔が大切だ。

 

台湾の商売人は外国人に笑顔で親切に応対する。

一見、不愛想に見える店員も「調味料はあそこ」と指さしたり、

「熱いからゆっくり食べて」などと言葉を添えてくれる。

日本人に足りないのは疲れていても笑顔で応対する忍耐力ではないだろうか。

駅に戻る途中に「599ミュージアム」なる建物が目に留まった。

入場無料とあったので入った。

中は高雄山に生息する動植物の標本展示場となっていて、白を基調とした館内は

広くゆったりとしたスペースが確保されている。(599は高雄山の標高)

イノシシやムササビ、リス、フクロウなどの標本があり、生物好きには

堪らない空間だ。

入り口近くには喫茶スペースがあり、たっぷり2杯分のサイフォンコーヒーが

600円で飲めた。

昆虫や植物の標本を見ながら、1時間ゆったりとした時間を過ごした。

外の木々は紅葉していて、人混みの中で見るよりゆったりと眺めることが出来、

充分満足した。秋はそこにもある。