ミャンマー政変 中国関与か
先月、王毅外相が軍最高司令官と会談
ミャンマー国軍がクーデター後にネットを遮断したり、
空港や高速道路を封鎖しているが、時が経つにつれ、
様々な情報が握りしめた指の間から零れ落ちる砂のように
足下に積もりだした。
(ミン・アウン・ライン最高司令官と王毅外相)
ドイツ与党連合は昨日、今回のクーデターについて、
中国の関与が疑わしいとして、EUに調査するよう求めた。
EU最大の親中派のメルケル首相を支える与党連合がこのような声明を出すのは
異例の事だ。
与党連合はその根拠として、
去年11月の総選挙の敗北後、ミン・アウン・ライン最高司令官が
外国の要人と会ったのは、王毅外相だけであること。
また、普段は外交面で表舞台に出ることはない軍のトップを王毅外相が訪問したこと。
さらに、今回のクーデターについて新華社が
「大規模な内閣再編を行った」と報じたことなどを挙げている。
(国会を占拠しに向かう陸軍車両、2日ツィッターで偶然撮影された写真)
(10月下旬、期日前投票するアウンサン・スー・チー氏)
11月8日に行われた総選挙では、アウンサン・スー・チー氏率いる
国民民主連盟(NLD)が476議席中396議席を獲得し圧勝、
軍を支持する野党は33議席と惨敗した(残りは少数民族諸党47議席)。
ミャンマーの新政権は3月に発足する予定だった。
(クーデターを指揮したミン・アウン・ライン最高司令官)
今回の選挙結果は、軍にとって衝撃的だった。
10年前まで約50年間、政権を維持してきた国軍は、
2015年の総選挙で初めて敗北し、今回は惨敗した。
軍はこれまで、民主化要求運動に対して容赦なく武力で鎮圧してきた。
一方で軍人は様々な利権をむさぼって来た。
その集大成と言うべきものが、新首都ネピドーの建設で、
これに関わるほぼ全ての事業に軍が関与した。
総選挙での2度の敗北で、民主主義が定着すれば、
軍は政治から遠い存在となり、利権の恩恵は受けられなくなることは必死だ。
ミン・アウン・ライン最高司令官は今年、退役の予定だった。
しかし、1年間の非常事態宣言をだしたことから、退役はその先になるとの見方が
出ている。
習近平国家主席は、王毅外相がミャンマーを訪問した1週間後、
自らの計画である「一帯一路」について
「ミャンマーはこの計画の中核をなす」として、ミャンマー支援を今後も続ける
姿勢を強調した。
計画では、内陸部雲南省の省都混迷からミャンマー最大都市のヤンゴンを経て、
ベンガル湾に到る1700キロに高速道路と鉄道を建設するというもの。
経済ルートだけではなく、ヒマラヤ越をせずにインドの東側に軍を移動できる
効果もある。
この計画に対しては、ミャンマーの負債が巨額だとして、
民主派からは反対の声が多い。
中国はその声を潰す意味でも劣勢に立たされた軍に今回のクーデターを
持ちかけたのではないか、という疑惑が出ている。
欧米が経済制裁に乗り出せば、ミャンマーは今以上に中国との関係を
強めることは間違いない。
インド”シナ”5か国中、3か国(ラオス、カンボジア、ミャンマー)が
中国の属国となる気配だ。