台湾 主要閣僚は著名医師たち
防疫指揮センターも専門医で組織 国民の信頼篤く
武漢肺炎の感染拡大が止まらない。
アフリカや南米でも感染が広がり、東京五輪も延期が決定した。
開催ありきに固執した日本の政治家やIOCの幹部の常識の無さに
世界は呆れたことだろう。
武漢肺炎は、政治指導者の知性も問われる事態となっている。
政治家の知性と感染拡大は無縁ではないと私は思う。
世界で一番、感染拡大阻止に奮闘している台湾がそれを証明している。
写真上の指揮センターの中央メンバーはすべて医師・感染症の専門医である。
毎日、記者会見を開き、国民に台湾の感染状況を丁寧に説明、
どんな質問にも回答するその姿勢は8割以上の国民の支持を得ている。
「寝る時間はあるのか?」という質問に
「心配はご無用」と答えたセンター長の陳時中厚生大臣は「鉄人」と称されている。
日本の加藤厚労相は元大蔵省の官僚で、医学の素人である。
写真下の3人は蔡英文総統を支える主要閣僚。
左の陳建仁現副総統は感染症の専門医で、2003年SARSが流行した時、
厚生大臣として対策の指揮を執った。
真ん中の陳其邁内閣副総理は台湾南部で毎年感染が起きるデング熱の対策に
あたってきた。
右の頼清徳次期副総統も医師で、公衆衛生の専門家、
3人は政治家になる前に医師として国民に知られていた。
こうした医師たち閣僚の知見が武漢肺炎に対する素早い対策に繋がった。
台湾の近年の政治指導者は、優れた知性の指導者が多い。
李登輝元総統は京大卒、米国で農学博士号を取得、
台湾の民主化を一気に加速させた。
民進党を始め、国民党の中にも李氏を慕う幹部がいる。
2000年、民進党初の総統になった陳水扁氏。
弁護士で、台湾民主化運動で逮捕された活動家の弁護を担当した。
台北市の柯文哲市長、台湾医大の外科医、
その知名度の高さで2期市長を務めている。
昨年、台湾民衆党を結成、党首に就任した。
蔡英文総統は法学博士、国立政治大学で教鞭を執った。
李登輝氏に見込まれて政治の世界に入った。
写真は今年、自宅療養中の李氏(手前)を見舞う蔡総統。
台湾が武漢肺炎の感染拡大の抑制に成功しているのは、
こうした政治指導者の優れた知性と無関係ではない。