台湾旅行記2018 12 選挙の勝敗は | 洋左右的人生

台湾旅行記2018 12 選挙の勝敗は

 

  ボールペン、靴下、食事、現金・・誹謗中傷、偽情報

 

台湾ではきょう、統一地方選挙の投開票が行われる。

これまで台湾の選挙は2度見てきたが、今回ほど激しい選挙戦は初めてだ。

私がこれまで間違いないと思っていた台北市や高雄市では、

国民党の攻勢で行方が混沌としたからだ。

 

台湾では法律で、投票10日前から支持率の調査発表が、

投票に影響を与えるとして禁止されている。

 

そのため各メディアは、候補者の集会参加者数を支持率に見立てて

大々的に伝えている。

                     (彰化県大村郷)

                        (新北市)

スペースがあれば、選挙ポスターに利用される。

バスは移動選挙カーとして各候補から重用されていて、

市内を走る路線バスのほとんどが、候補者の顔を載せて走る。

ティッシュペーパーや靴下、ボールペンを配るのは序の口、

無料で食事を提供したり、花火大会を開催する候補者も多い。

そして最後は1票1000元(約3600円)での買収、

これに対して、家族4人ごと応じる有権者もいる。

 

運動員も必死、誰彼構わず、ポスターとグッズを配る。

 

 

今回は民進党の牙城とされてきた南部の高雄市の市長選挙が

天王山となった。

ここを奪回すれば、2年後の総統選挙で勝てるとの戦略を

国民党が立てて、各地から支持者を動員して、

民進党と数で肩を並べたからだ。

 

この状況に危機感を抱いた民進党は選挙戦後半、

支持者に集会参加を呼び掛け、数で民進党を引き離した。

 

敗北が取沙汰された国民党はここで民進党候補を誹謗中傷する

禁じ手に打って出た。

国民党候補は、自らが高雄生まれであることを強調し、

過去の民進党市長はいずれも他県出身で、

「相手候補の妻はマレーシア人(台湾系)だ、高雄は高雄市の人間で

無ければだめだ」とあからさまな人身攻撃を行った。

さらに、国民党主席(白シャツ眼鏡)は、高雄で絶大な人気のある民進党

前市長の女性を「デブの豚」と罵り、謝罪に追い込まれた。

 

この発言には各地の国民党候補者も仰天、

党内からは選挙で敗北したら主席は辞任すべきだ、との意見も出て、

分裂の様相も出始めた。

 

選挙結果は夜に判明する見込みだが、

高雄では、国民党が敗北すれば、暴動が起こるとの噂が出ている。

 

台湾の選挙が激しいのは、台湾人(本省人)と中国人(外省人)の

戦後からの対立が解消されていないからだ。

このことに触れない日本のメディアの軽薄ぶりは相変わらずだ。