ヒプノセラピストの風湖です。




 「時計の針は元には戻らない。

 だが、自らの手で進めることはできる。」

 これは、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の登場人物である、碇ゲンドウのセリフです。




 私がまだ学生だった頃の友人の中に、ドイツ留学を夢に見ている男性がいました。

 彼はドイツのことはあまり知りませんでしたが、幼い頃に家族とベルリンへ旅行をしたときの記憶は微かにありました。




 そこで、一日数回、自分の幼い頃の記憶をたどって、ライン川の岸に立って、景色を眺めている自分の姿を頭の中にリアルに思い描くようにしたのだそうです。

 するとあるとき突然、その景色の中から川のせせらぎや鳥の声が聞こえ、ブルっと震えるような寒さを感じたのだそうです。




 その次の年に、急にバタバタと留学の話がまとまり、彼はドイツに渡りました。

 留学しているときの秋のはじめにライン川を眺めに行ったとき、すでに川風は冷たく、思わずブルっと震えたのだそうです。

 思い描いた過去のイメージは、潜在意識が引き受けて、それを実現させたのです。