ヒプノセラピストの風湖です。
鎌倉時代に作られたとされる作者不明の軍記物語「平家物語」は、「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響きあり」という名文からはじまります。
この「諸行無常」とは、「世のすべてのものは移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返し、永遠に変わらないものはない」という意味の言葉です。
八万四千あると言われている仏教のお経の中で、わずか三百文字足らずの「般若心経」は、もっとも親しまれているお経のひとつでしょう。
その前半では、すべてのものは縁の集合体なので固有の実体はなく、変化し続けるという「空」の大原則が説かれています。
人の心も同じで、その状況によってあれこれ変化しやすいもの。
そう考えると、世の中には、勝ちもなければ負けもありません。
世の中のすべての争いや戦争に真の勝者はいないのです。
勝ち負けがあると思って頑張っている人は、勝つことばかり考え、常に負けることを恐れていますから、いつも心は穏やかではありません。
「般若心経」では、「正と誤などの対立関係からは離れた方がいい。気にしない方がいいと悟りなさい。」と説いています。
損と得、正と誤、多と少、善と悪なども、時代や価値観、地域が変化すれば、簡単にひっくり返ることばかりなのです。