心理カウンセラーの風湖です。




 数年間「引きこもり生活」をしているある男性が、何日も続く不眠症に悩み、カウンセリングに来られました。

 ずっと家族とも距離をとり、誰にも会わない生活をしてきた結果、なぜかソワソワとして落ち着かず、安心して眠りにつくことができなくなってしまったのです。




 人生において安心感や幸福感の基盤となるのは、「自分の思いどおりの生活をする」ことではなく、実は「自分の存在が誰かの幸せにつながると感じる」ことなのです。

 つまり、あらゆる心の問題の原因は、誰かのためにやるべきことをしていない、という罪悪感から起こることが多いのです。




 不眠症に悩むその男性は、毎日、「明日、誰かのためになにをやろうか。自分にできることはなんだろう?」と考えながら眠りにつくことで、次第に熟睡することができるようになりました。

 そして、それと同時に、彼はだんだん引きこもり生活から外に出る生活ができるようになり、少しずつ笑顔も増えていきました。




 今、自分の命があるのは、親や祖先や周りの人達のおかげです。

 自分以外の誰かを敬うことができない人に、家族や友人や会社の同僚を大切に出来るわけがありません。

 「明日、周囲の人達をどのように喜ばせることができるだろう」と考えることは、とても嬉しいことなのです。