心理カウンセラーの風湖です。




 最近は、若い人達ばかりでなく、SNSの影響が強いからなのかもしれませんが、「模範解答」が溢れすぎていると感じるのは私だけでしょうか。




 コロナ禍の今、ワクチンの情報だけでもありとあらゆる情報をいろんな人達から教えられ、誰のどんな意見を参考にしたらいいのかわからないとおっしゃる方も多い気がします。




 そういう「正しい」意見を言っている人達が必ず言うのは、

 「今朝のニュース番組で言っていた」

 「ネットで見た。だから確実。」

 という、知らない誰かからの情報だという謎のアピールです。



 しかし私は、世の中の情報がすべて間違っているのだと言いたいのではありません。




 「ググれば分かるよ。」という言葉も日常的に使われるようになり、SNSからの情報は絶対に正しいと思われがちですが、世の中で「正しい」とされていることは、基本的には「7割くらいの人が賛同すること」の方が多く、「絶対的に確かなこと」ではないような気がするのです。




 簡単に情報とアクセスしやすくなった現代では、少数派としての意見を持っている人にとっては、昔より生きるのが窮屈になったしまったなと感じます。




 音楽プロデューサーで作詞家の秋元康さんは、あるインタビューで、「アイドルになる子の見い出し方」について答えていました。




 「ある人間が存在するとき、他の人とはどこが違うのか、という差異が1番の魅力になるんです。AKB48がデビューしたとき、前田敦子さんをなぜセンターにしたのかというと、グループのほぼ全員が『センターで歌いたい』『人に注目されたい』とアピールする中、彼女だけは『私は絶対嫌です。後ろの方がいい』と。」




 それが彼女の差異。

 言い換えれば個性ですよね。

 そんな引っ込み思案な彼女がセンターに立って、経験を積んで堂々たるアイドルになっていく。

 そんな「みんなと違う」ストーリーに人は、魅力されるのかもしれません。




 もちろん、社会で生きている以上は、どこか模範回答をしなくてはいけない時も必ずありますが、「自分なりに失敗しながら、ひとつひとつを新しい常識に書き換えていく作業」というのも、必要な気がします。




 それはたとえば、実家から出て一人暮らしをする際に、新しい食器を自分の好みのものに買い揃える感覚と似ているのかもしれません。




 「正しいこと」「誰かの真似」だけではつまらないのではないでしょうか。

 「自分で探すこと」の楽しみをこれからは自分で見つけてほしいと思います。