心理カウンセラーの風湖です。
今から15年前、私の夫は通勤の途中に交通事故に遭いました。
その時に、激しく頭部を揺さぶられ、外傷性くも膜下出血と高次脳機能障害を患い、約3ヶ月の間、生死の境を彷徨いました。
なんとか命は助かりましたが、右脳と前頭葉のほとんどが破壊と萎縮を繰り返し、やがて正常な判断力と記憶力、身体感覚のほとんどを失ってしまいました。
つまり、生きてはいるのに反応がない。
人間であるのに感情がない状態になってしまったのです。
夫は今でも家族のことや住んでいた家のことまでまったく覚えていません。
もちろん、私のこともわかりません。
面会に行っても、要求もありませんから、指示がなければ動きません。
言葉も発しません。
感情もありません。
夫は植物状態になりました。
社会復帰は無理だと診断され、私はその時小さい子供を2人抱えていましたから、ただただ呆然とするだけで頭の中が真っ白になりましたが、それからしばらくして、私の人生が決まりました。
「脳のことを知りたい。」
「記憶ってなんなのか知りたい。」
「感情や心がなぜ揺れ動くのか知りたい。」
そう思ったときから、私の猛勉強が始まりました。
脳科学、心理学、哲学、歴史、生物学から宗教、スピリチュアル、マインドフルネスに至るまで、ありとあらゆる本を読みあさりました。
今では心理士資格を取得し、心理学講師としてたくさんの生徒さんに教えながら、あらゆる立場の皆さんから心理士としてカウンセリングやコーチングなども任されるようになりました。
今でも主人は、施設で人生をゆっくりと過ごしています。
小さかった子供達もすでに成人し、それぞれの人生を楽しんでいます。
これが私の人生です。
今、悩み苦しんでいる人、絶望の淵に立たされている人は、これから何かを任される人なのだと思います。
ですから、「困った」と思ったら本を読んでください。
なにかを学んでください。
それが、やがてあなたの生きる希望に変わるのだと私は思います。