心理カウンセラーの風湖です。




 自分の思い通りにならないときに怒りを感じ、周りの人に対してその「怒り」の感情をあらわにする人がいます。




 そのような人が周りにいると、とても嫌な気分になりますし、そこにいる人達にも感情が伝染して、なんとなくイライラしてしまいます。




 実は、「怒り」の感情は、遺伝による個人差があるとか、先天的にその人の脳に埋め込まれているプログラムとかではありません。




 人が生まれた後から、周囲の環境や社会との関わりによって刷り込まれたものなのです。




 アドラー心理学では、「すべての感情には、目的がある。」と言います。




 普通、私達は「〇〇が起きたから悲しい。」とか、「〇〇のせいで腹が立つ。」というように、はじめに何かしらの原因があり、その結果、感情が湧き上がると考えますよね。




 しかしアドラーは、「人は、相手や自分を操作するために感情を使うのだ。」と言っているのです。

 つまり、自分や誰かを思い通りにするために感情を使い、その感情を沸き上がらせる「原因」は、後から付けたものだというのです。




 もともと人の心は、鏡のような綺麗な湖のようなもので、平らで静かで穏やかなものなのです。




 その穏やかな心が、意識的に立ち上がり、「起こってくる」ことを「怒る」とか、「腹が立つ」というのです。




 そして、何も考えずに静かなままのことを「起こらない」、つまり「怒らない」「腹が立たない」と、言います。




 それなのになぜ、生まれた時には持ち合わせていないはずの感情なのに、人は怒ったり腹が立ったりするのでしょうか。




 それは、子供の前で大人が、気に入らないことがあったら相手を怒って怒鳴って問題を解決する、という方法を何度も見せて、教え込んでしまうからです。




 しかし、もともと腹が立つ状況というものは、この世界にはありません。

 自分が勝手に怒りを感じて腹を立てているだけ。

 つまり、演技をしているだけなのです。




 ですから人は、リラックスして笑顔で過ごしている時は全く疲れませんが、怒ったあとはとても疲れます。

 なぜなら本来、人には怒りの感情は持っていないからです。




 感情に振り回されてしまうから、人はストレスに悩まされてしまうのですね。




 ですから、これからは怒りのエネルギーを、笑顔のエネルギーに変えてしまいましょう。

 そして子供の前では、笑顔で話をして問題を解決するという方法を、親が教え込んでいくことにしましょう。




 そうしていけば、子供はその方法しか覚えませんから、怒りの感情をわざわざ表現して、精神的に疲れる大人にはなりません。




 人間が本能的に持っているもの、先天的な遺伝というのは、とても美しい笑顔なのです。