心理カウンセラーの風湖です。
「僕は、小さい頃から父親に殴られたり、怒鳴られたりして育ちました。そのせいで、今でも父親が怖くて、話もできません。
大人が怖くなり、高校を卒業して就職しましたが、すぐに辞めてしまい、今は部屋に引きこもっています。」
その20代の男性は、苦しそうに私に訴えました。
引きこもりとは、仕事や学校に行けず、家にこもり、家族以外の人とはほとんど交流のない人のことをさします。
2018年の統計における日本人の引きこもりの件数は、中高年層(40〜64歳)では約61万3000人、若年層は約54万1000人にものぼるのだそうです。
引きこもるきっかけとしては、成績の低下や就労の失敗、失恋やいじめなど一種の「挫折体験」が見られることがあります。
それに加えて内閣府の調査によると、その原因は病気や仕事・学業でのつまずきが、ひきこもりのきっかけになったケースも多いのだそうです。
「生きていくのには本当に大変なことがあって、苦労ばかりなのに、無理して働きたくないんです。父親が厳しかったので、僕はこんなふうになってしまったのだと思います。」
さらに男性は、そう言って目を伏せました。
「毎日家にいると、気が滅入るでしょう?辛いよね。君の人生に足りないものがあるのだとしたら、親の愛情ではなくて、思い切り笑うユーモアかもね。」
そう、私はこたえました。
「誰が自分をこうしたのか?」とか、「なにが原因で人生がこうなってしまったのか。」ばかりを探し回り、どんどん笑顔が消えて、愚痴や泣き言ばかりを言っていても、実は、そういう現象を次々と呼び寄せるだけなのです。
なぜなら、人の思考は言葉にした方へ向くようになっているからです。
犯人探しをしてばかりいると、犯人が見つかるまでいつまでも探し回ってしまいます。
ですからそれは、逆に考える方がいいのではないかと思うのです。
目の前の現象がどういう状態であれ、その現象を喜んだり、おもしろがったり、楽しんだりして笑顔で暮らしていると、波動が上がって自分で自分をもっと喜ばせたいと思うから、さらに笑顔になるような出来事を探すようになるのです。
私はずっと人間観察をして来ましたが、愚痴や泣き言が多い人ほど、面倒な現象に見舞われているような気がします。
このような話を聞いて、「でも先生、すぐにそんな風に楽しいとは考えられません。」と、言うのならばそれでも構いませんが、これからもずっと愚痴や泣き言を言い続けるということは、自分で自分の思うようにならないようにしていく行動なのかもしれません。
「今までとは現象は変わらないけれど、とりあえず愚痴や泣き言を言うのはやめよう。」と、決意して実践した人は、実はとてもたくさんいらっしゃいます。
そうすることで、面白いことに愚痴を言うのをやめたところから現象が一変し、笑顔になるような出来事が起き始めたとしたら、素晴らしいことではないでしょうか。
笑顔が笑顔を連れてくるのかもしれません。
もしかして、明日がとても楽しくて素晴らしい日になったら、とても大変ですよね。
ですから今日は、ゆっくりと家で休んでおきましょうね。