心理カウンセラーの風湖です。
「夫が転勤族で、3年、5年になると転勤になるんです。この春また、今住んでいる場所から電車で2時間半くらいのところに転勤になりそうなんです。
今住んでいるところにもやっと慣れたところなのに、子供のことを考えると、ついていきたくありません。」
旦那さんの転勤が多いと、ストレスの元にもなりますし、我慢の限界です!と、その奥さんは困っていました。
旦那さんは、「単身赴任をするなんて嫌だから、ついて来て欲しい」と言っているのだとか。
つまり、選択肢は2つのうちのどちらかなのです。「これ以上ついていくのはイヤ。」と言って笑顔で夫に言って別居するのか。
それとも、諦めて黙ってついて行くのか。
このどちらかなのです。
仏教の言葉に、「独生独死独去独来」という言葉があります。
「どくしょうどくしどっこどくらい」と、読みます。
「人間はみんな生まれてから死ぬまで、連れのない一人旅だ。」という、お釈迦様の教えです。
ここで言う、「連れ」とは、恋人や兄弟や家族といった「人としての連れ」ではなく、「心の連れ」のことなのだそうです。
つまり「心の連れがいない」とは、「お互いの心の底から分かり合える人はいない。」ということなのですね。
人は、「誰も、私の気持ちなんて分かってくれない。」と「お互いに」同じように悩んでいるということを気づかない場合が多いのです。
ですから、いつしか人間関係のすれ違いが多くなるのですね。
私達カウンセラーも同じです。
その人の心の中の本当の悩みは、実は本人にさえもわかっていない場合もありますから、いくら信頼関係を築いたとしても、クライアントさんの本当の悩みを理解できるはずもありません。
それならば、相手の言葉や感情に寄り添い、話を聞くだけ聞いてあげて、頷き共感してあげましょう。
その上で、望ましい自分の生き方を一緒になって考え、少しずつ歩んでいくのです。
それだけでも、本当に良いカウンセリングになるのですね。
人間関係の解決方法は、どれだけ相手の気持ちに寄り添ってあげられるか、なのかもしれません。
人の選択は、やるか、やらないかの2択だけではないのです。
時間をかけて、納得するまで心の波がおさまるのを待ってから決めることも、良い方法なのかもしれません。
愚痴や不平不満を漏らすよりも先に、お互いの気持ちをわかろうとしてあげて、そこから話し合い、結論を出してあげることが、温かいコミュニケーションになるのではないかと私は思います。