心理カウンセラーの風湖です。



 あるお母さんからこんな質問をされました。



 「私には、9歳の息子がいるのですが、学校に行きたがらず、ずっと休みがちです。
 私は仕事に行かなくてはならなりません。
 そんな子供に対してイライラしてしまい、私は毎朝、学校に行かせるために大声で怒鳴ってしまいます。
 


 先生の言う通りにイライラしないこと、怒らないことを理想とし、自分もそうなりたいと思うのですが、実際にはそうならなくて、毎日落ち込んでしまいます。


 どうすれば良いのでしょうか。」



 私は、そのお母さんにこう質問しました。



 「では、いつも大声を出して子供を叱るということをずっとやってきたのですね?」

 「そうなんです。」

 「では、目の前に困ったことが起きたときに、大声で怒鳴り、声を荒げて、相手を黙らせるという解決方法を、ずっと子供に教えてきたわけですね。」



 そのお母さんは、ハッとしたような顔をして、そして黙ってうつむきました。



 じつは、子供が社会を学ぶ方法は、親が身をもって示してきたことがお手本になる場合が多いのです。



 「目の前に気に入らないことがあったり、気に入らない人がいれば、思いのままに支配するために怒鳴れ、怒れ、大きな声を出せ」ということを、親自らが子供に示してきたわけです。



 つまりそれは、親だけでなく、学校の先生や、地域の大人や、友人までもが怖くなり、他人に対して萎縮するように子供に教えてきたことになるのではないでしょうか。



 10歳以下の子供達には、言葉で説得をすることは出来ません。
 言葉をすべて理解したり、上手く表現させる、脳の中の前頭前野が十分に出来上がっていないからです。



 ですから、まだ幼い子供達には、自らが手本になり、自分の生き方を背中で見せることでしか、子供を教育できる方法はないのですね。



 やたらとイライラして、怒鳴って、強制的に問題を解決するのではなく、いつも笑顔で楽しい方向に導いて解決する方法論を示してみましょう。



 それでも、怒りが爆発しそうになったら、黙って外に出て、空を眺めてみましょう。



 「今日は、良い天気だなぁ。」とか、「曇っているけど、風が気持ち良い日だなぁ。」とか、考えているうちに、怒りはスーッと消えて行きます。



 そして、気持ちがおさまったら、そんなお母さんへのご褒美と、子供への愛情表現のために、おやつなどを仲良くいただきましょう。



 そして、「学校に行きたくないなら、行かなくてもいいよ。どんなあなたでも大好き。」って言ってあげられたら素晴らしいことですよね。



 お母さん、今日もご苦労様です。
 あと少しだけ、社会の宝物を大切に育ててくださいね。