心理カウンセラーの風湖です。
ある、30代のクライアントさんが、「最近、会社に行くと落ち込んでしまうんです。」と、話をしてくれました。
その理由を聞くと、「会社の同僚が昇進することになり、なんとなくモヤモヤして眠れません。羨ましいというか、悔しいというか…。」
「自分だって、彼と同じように頑張ってきたつもりなのに、誰も評価してくれないので腹が立ちます。」
と、寂しそうな顔をして答えてくれました。
仲の良い同僚の昇進。
それを素直に受け止めることが出来ないもどかしさ。
それは、その同僚に対する「嫉妬心」が彼の心を支配していて、怒りにも似た感情を抑えることが出来なくて困っているのだそうです。
「嫉妬」という言葉を辞書で調べると、まず最初に「他人が自分よりも恵まれていたり、優れていることに対して、うらやみねたむこと。」と、出てきます。
「他人」とは、近所の人だったり、会社の同僚だったり、学生時代の同級生だったり…。
つまり、自分の身近に生きている他人が、周りから評価をされたり、賞賛されたりするほど、大きく育ってくるエネルギーのひとつが、「嫉妬」なのですね。
一般的には女性のほうが嫉妬深いとも言われていますが、もちろん男性にもあります。
そして、この嫉妬心を克服する手助けになる方法がひとつあります。
それは、お釈迦様が残した、「随喜功徳」という教えです。
「随喜」とは「心の底から喜ぶ」「心の底から嬉しいと思う」こと。
「随喜功徳」とは、人が喜んでいるときに、同じ気持ちになって心の底から喜んであげることが功徳(徳を積むこと、徳つみ)になる、というものです。
「徳」とは、人が持っている品性や能力のことを指します。
「徳を積む」という考えは、因果応報が由来となっていて、良い行いも悪い行いも、巡り巡って最終的には自分に返ってくる、というような教えなのです。
その徳を積むために、「心の底から喜ぶ」とか、「心の底から嬉しいと思う」だけなのですから、ずいぶん簡単な徳積みのように思えますよね。
しかし、他人のことを「羨ましい」と思い、ねたみ苦しむことよりも、その対極にある「我が事のように喜ぶ」ということは、頑張っている人にとっては意外に難しいことなのかもしれません。
徳を積んで、自分に返って来るという考え方は、「嫉妬してはいけない。」とか、「羨ましいと思うべきではない。」と、ただじっと堪えて努力するよりも、もっと楽しく楽な方法であると考えることも出来ますよね。
人の喜びを共有し、我が事のように喜ぶ。
それが、いずれ自分の幸せにつながる。
そう思うだけで嫉妬心が克服出来るのではないでしょうか。
その方法が、「随喜功徳」なのです。
祝ってあげる、喜んであげる、そういうことを意識して積極的に表現するだけで「徳を積む」ことになるというのですから、ありがたく楽しい話に変わりますよね。
たくさん喜んで、たくさん賞賛して、どんどん徳を積んでいきましょうね。