心理カウンセラーの風湖です。
あるテレビ番組を見ていたら、「高学歴ニート」と呼ばれる数人の若者が、自分が高学歴でありながら働かないという選択をしていることについて論議していました。
「頑張り続けることに疲れた」
「威圧的な上司に耐えられなくて辞めた」
「親のために働くわけではない」
さまざまな意見が飛び交っていましたが、このような若者は少数派なのではなく、むしろ増えて来ているのではないかと思いました。
彼らは決して甘えているわけではなく、わがままなのではなく、働く意志はあるのに働くことができない今の自分の姿に、本当は苦しんでいるのではないかと感じます。
高学歴と言われる人達だけではなく、私達はみんな、学校でも家庭でも社会でも「ヨーイドン」と鳴ったら必ず一位か二位を目指しなさい。と、そういう教育を受けてきました。
彼らはわけもわからず、ただゴールに飛び込むことしか考えずに走ってきたのです。
人より抜きん出ること、人より努力して、努力の結果が幸せになると信じ込まされてきました。
それが当たり前と思って生きて来たのです。
しかし現実社会は、自分の考えていた幸せとはかけ離れていて、ショックを受けて悩んだ結果、働かないということを選んでしまったのかもしれません。
彼らがそれまで教え込まれてきた人生観とか、ものの考え方は、どうもおかしいみたいだと気がついて、嘆き苦しんでいるのではないかと私は思います。
私はたくさんの人生相談を受けますが、そのような価値観で悩んでいる若者もたくさん来られます。
「毎日がむなしい。」
「仕事は、毎日同じことの繰り返しで楽しくない。」
「仕事を辞めようと思う。」
そのように打ち明けてくれる人達に対して私は、
「もう、頑張らなくてもいいのではないでしょうか。これからは、自分にも他人にも甘く生きることにしませんか?」
と、言います。
人と競い合って、目的を果たす生き方しか知らなかった彼らには、そのひたむきさを讃え、心を癒し、新しい価値観を自ら生み出して、そして環境を与えてあげることが必要です。
その上で、高学歴ニートの若者達がどのような行動をとるのか、それも自由なのです。
子供の頃のような、やる気に満ち溢れた笑顔を取り戻すことが出来るのならば、どれだけの時間がかかろうと、かまわないのです。
老若男女を問わず、人は、周りの人達のためになりたいと常に考えているのです。
誰よりも優しくて、誰よりも真面目に頑張ってきた高学歴ニートの若者達。
これからの未来は、彼らの手によって変えて欲しいと願うばかりです。