心理カウンセラーの風湖です。
「仕事」という言葉は、「事に仕える」と、書きます。
たいていの人は、「仕事」というと、「お金を得るための労働」と考えるのではないでしょうか。
あるいは、「自己実現のため」だという人もいるかもしれませんね。
しかし、「働く」の本質は、「はた」を「楽」にすること。
つまり、自分が体を使って、汗を流して、周りを楽にすることです。
「自分のために働いている」と、思っている人は、職場の仲間につい我を通したくなって、すぐに辞めてしまいたくなるのかもしれませんね。
「事」にお仕えするのが「仕事」。
どんな事にお仕えするのかといえば、
「喜ばれる事」
「はたを楽にする事」
これこそ、「仕事」の本質です。
ある町の小さな自転車屋さんのお話です。
「最近はスーパーや量販店で自転車を安く売っているので、うちのような小さな店に買いに来てくれるお客さんが少なくなりました。
自転車が壊れても、最近の人はみんな『修理するより安いから』と言って新しいのに買い換えてしまいます。」
私は、家族の自転車のタイヤがパンクしたり、点検を頼むとき、いつもその小さな自転車屋さんに頼んでいましたし、もちろん新しい自転車を買う時も、迷わずその自転車屋さんに行っていました。
しかし、その自転車屋のご主人がそのように悩んでいらっしゃったので、
「でも、私は修理の技術が上手くて早いこの店のほうが安心できますよ。
親切ですし、何より自転車を愛していらっしゃる。
私はそんなお店のほうが嬉しいです。」
と、言いました。
すると、そのご主人の顔がパッと明るくなって、「そう言ってくださると嬉しいです。」と、笑顔で答えてくれました。
そのご主人は、最初は
「もっとお店を大きくしたい。」とか、
「時代遅れの自転車屋より、自分ももっと儲かる仕事に変えようか。」
という気持ちがあったそうですが、それからはだんだん、
「お店は大きくなくても良い。」
と、思うようになったそうです。
「たくさんお金を儲けるよりも、一人一人のお客さんと触れ合える商売の方がいい。
うちのお店に立ち寄ってくれる学生さんとか、近所のお年寄りのために会話をしながら仕事が出来るほうがいい。」
仕事は、人に喜んでもらうためにするものですが、いざその人に「ありがとう」と言われると、自分が1番嬉しいのだと気づくことができます。
ですから、結局は自分のためになっているのです。
人の使命は、誰かに喜んでもらうこと。
誰かを幸せに出来る人になること。
そんな気持ちで笑顔でやっていれば、必ず自分の幸せに繋がってくるのですね。