心理カウンセラーの風湖です。
漫画の神様といわれた、天才漫画家の手塚治虫さんのお話です。
手塚治虫さんがなぜその才能を伸ばして天才漫画家になれたのか。
それは実は、子供の頃のお母さんの一言がきっかけだったのだそうです。
それは、治虫少年が小学生の頃のこと。
授業中、ノートに漫画を描いているのを先生に見つかり、彼のお母さんが学校に呼び出されたのだそうです。
手塚治虫さんが通っていた学校は、大阪でも有名な進学校だったので、授業中に勉強に集中せずに漫画を描いているということは、学校にとっては大問題だったのですね。
しかし、学校で先生から注意を受けて帰って来たお母さんは、治虫さんにこう言いました。
「どんな漫画を描いたのか、見せてくれる?」
お母さんは、治虫さんが待って来た漫画を最初のページから最後まで丁寧に読んで、さらにこう言ったそうです。
「とてもおもしろい。お母さんは、あなたの漫画の世界で第一号のファンになりました。お母さんのために、これからもおもしろい漫画をたくさん描いてください。」
普通なら、先生に注意されたら、家で子供を叱りつけるところでしょう。
しかしお母さんは、授業中に漫画を描いたことをまったく問題にせず、上手に漫画を描いたことを褒めたのです。
さらにお母さんは、大学で医学の勉強をしていた治虫さんが、医者になるのをやめて、漫画家になりたいと相談した時にもこう言います。
「あなたが漫画家を選ぶのなら、お母さんはずーっと応援します。お母さんはどちらの道を選んだとしても、あなたの味方です。」
手塚治虫さんは、このようなお母さんの深い愛情に包まれて、自分に自信を持ち、のびのびと才能を発揮して行ったのですね。
どちらの道に行くかを相談されても、こちらに行きなさいとは言わなかったお母さん。
どちらの道を選択しようとも、息子を信じて、まるごと受け入れたお母さん。
人と比較したり、世間の常識で考えるのではなく、まるごとそのまま受け入れて、愛情をふんだんに注ぎ込んだのです。
大人になっても私達は、何気なく親に言われた一言をずっと記憶として持ちながら生きて行きます。
だとしたら親は、子供の人生に勇気を持たせる言葉をたくさんたくさんプレゼントしてあげることが、子育てでもっとも大切なことなのだと思います。