心理カウンセラーの風湖です。



 ある30代の男性から、このような相談をいただきました。



 「結婚して10年になります。
 子供も2人います。でも、最近妻が別居をしたいと家を出て行ってしまいました。
 原因は、自分が亭主関白で、威張って怒鳴ってばかりいたせいで、妻の我慢の限界だったからのようです。」



 よくお話を聞かせていただくと、その男性の父親もやはりとても怖い人で、威張って怒鳴って、その父親や子供達の世話を母親が黙ってなんでもしていたのだそうで、そんな家庭で育ったからなのか、自然と自分まで同じような家庭を目指してしまったというのです。



 自分はもう一度やり直したいと思っているのだけれど、妻に対していくら謝っても許してくれそうもなく、別居状態のまま半年以上が過ぎてしまい、どうすれば良いのかわからないという悩みを打ち明けてくださいました。




 私は、彼にこう言いました。
 「真剣に誤ったのに、許してくれないのですね?」
 「はい。何度も何度も謝りました。」



 「では、あなたは妻に対して、あるいは周りの人達に対してありがとうと言って感謝したことは何回くらいありますか?」
 



 すると彼は、「え?」という顔をして、しばらく考え込んでしまいました。
 


 自分のパートナーだけではなく、人生で出会うすべての人に「ありがとう」といつも言っていると、人間関係が変わって来ます。



 その人の顔を見なくてもいいから、「あなたが目の前にいてくれてありがとう。」と、ひたすら言っていると、相手はたとえ怒っていても、穏やかに接してくれるようになります。




 周りの人よりも偉そうにしているばかりで、他人を思い通りに作り変えようとしている間は、その人との関係は変わらないでしょう。




 それは、自分に何かをしてくれて、その人を気に入ったときだけに言う「ありがとう」だけではなく、目の前の人や現象のすべてに対して「ありがとう」と言うのが本当の誠実さなのです。




 私達が生きる上で大切なのは、いつも「どうしたら周りの人に喜ばれるか。」「自分は今、目の前の人や社会に対して何が出来るのか。」を考えて実践することなのではないかと思います。



 お互いのことを深く思いやり、喜びや気づきを与え合うことができる存在、そういう関係が真の「信頼関係」なのではないでしょうか。



 相手に対して威張るということは、「あなたのやることなすことすべてが気に入らない。」と、言っているのと同じことです。


 
 しかしそうではなくて、
 「私はあなたの存在すべてがありがたくて、嬉しくて、楽しくて仕方がないのです。だから、これからもお付き合いをよろしくお願いします。」

 というような態度で、お互いに接することが出来たとしたら、自分も相手もずっと成長することができる関係のままいられるのではないかと思います。