心理カウンセラーの風湖です。



 ある母親が、
 「うちの息子は引きこもりで、鬱なんです。一日中ほとんど外出出来ないのです。」
 と、涙ながらに相談に来られました。



 「1年間浪人して、せっかく有名私立大学を卒業したのに、就職活動もせずに、ずっと家にいます。
 あのままぐうたらとした生活が習慣になってしまったら、社会に出られなくなってしまいそうです。」
 と、ガックリと肩を落とします。



 私は、その母親に、
 「無理して外に出して、社会生活をさせようと頑張らなくても、まずは家の中でも本人のやりたいことをやらせてあげればいいのではないですか?」
 という話をすると、その母親は、
 「実は、カメラをやりたいというのです。」
 と言うので、
 「それは良かったじゃないですか。」
 と、言うと、
 「でも、あの子はどうせ気まぐれで言っているだけなのです。だから、続かないと思います。」
 と、答えるのです。



 私は、全く理解が出来ませんでした。
 鬱や引きこもりの状態にある息子が、「やりたい」と言っていること自体、素晴らしいことなのに、なぜそれをやらせてあげようとしないのでしょうか。



 「息子が欲しがっているカメラはとても高いから…。それに、すぐに飽きてしまって、放り出すに決まっています。」
 と、なんだかんだと理由を付けて、やらせることを渋っているのです。



 おそらくその母親は、そうやってもう何年も子供のやりたいことや、言っていることを否定し続けてきたのでしょう。



 「どうせすぐに飽きて投げ出すのだから」
 とか、
 「すぐやめることになったらお金がもったいない」
 というような、自分の側だけの言い分で、子供のやりたいことを否定し続けて来たのだと思います。



 鬱や引きこもり以外にも、転職を繰り返してばかりいる人や、離婚を何回もしている人、とくに好きなことや趣味がまったく無い人なども、このような母親に、やりたいことや言っていることを否定ばかりされて育って来た方が多いのです。



 「どうせ何をやっても母親に否定ばかりされるから、やりたいことが出来たとしても、すぐにやめろと反対されてしまう。
 それに反抗をすると、いつもケンカになるし、腹が立つ。
 それならば、はじめからやらない方がいい。」



 という考え方が価値観となり、その結果が鬱や引きこもりなどの形に表れているのではないかと思うのです。



 最近はとくに、子供の問題と親の問題をごちゃごちゃにしている母親がとても多いと感じます。



 良いも悪いもこの世には存在しません。ただ、そう思う心があるだけなのです。



 「自分でそう思ったのなら、やってごらん。」
 と、心から応援してあげることができたら、子供はもっともっと生き生きと伸びていくのかもしれません。



 そして、まさにそのような母親が目の前に立ちはだかっていて、何も出来ないと困っていらっしゃる方は、すぐにでも価値観を変えて、自分が思った通りのことをチャレンジしてみて下さい。



 私は、あなたを応援しています。
 勇気を持って、顔を上げて、一歩踏み出してみましょうね。