心理カウンセラーの風湖です。
「私は優柔不断な性格で、なんでも迷ってばかりで困っています。
しかも自分で決めた事なのに後で後悔ばかりしてしまうのです。」
自分の選択に自信が持てなくて、悩んでいる人はとても多いものです。
「どちらにしようかな。天の神様の言うとおり。」
子供の頃は、こんな風に唄いながら何かを決めた覚えのある方もいるでしょう。
それでは、人が何かを決める時の、脳のメカニズムはどうなっているのでしょうか。
自分の自由な意思で自分の行動を決めているのに、なぜ後悔したり反省したりするのでしょうか。
リベットという研究者の行った有名な実験があります。
被験者に、「ボタンを好きな時に押してください。」と言っておいて、被験者がボタンを押したときの脳の活動を調べたのです。
当然、常識から考えれば、
① まず、「押そう」という意思が生まれる。
② 運動をプログラムする脳部位が活動する。
③ 手指に「ボタンを押せ」という指令が送られる。
と、考えられます。
ところが結果は違いました。
なんと、ボタンを押したくなる「意思」が生まれるより前に、(長いと1秒くらい前には)脳の(無意識による)運動視野のほうが早く、すでに押す準備をはじめていることがわかったのです。
つまり、人間の自由意思よりも前に、
① (無意識の)脳の活動の方が先に選択活動をはじめて、
② その次に「押そう」という自由意思が生まれて、
③ 指令が出されて手が動く。
というメカニズムだったのです。
人は、自分の自由な意志で選択決定をしているような気がしていますが、実は、(無意識からの命令である)脳の動きのほうがずっと先で、意識行動への命令はずっと後だったということになるのですね。
なんとも不思議で驚くような研究結果ですね。
つまり、この結果からわかることは要するに、科学的に見ると「人間には自由意思がおそらく無い。」だろうと言われているのです。
少し話が飛びすぎるかもしれませんが…。
ずっと前に読んだ本の中に、「人は生まれて来る前に、自分の人生のシナリオは自分で描いて生まれて来て、そのシナリオ通りに生きている。」と書いてあり、私はなんとなくそれを信じて生きているところがあります。
私達は、人生の様々な選択を自分の自由な意思で決めながら生きているのだと思い込んでいますが、実は、それも全て自分で決めて来たシナリオ通りだと考えると、なんとなく納得が出来ます。
ですから、その選択をした結果が良かろうと悪かろうと、その度に一喜一憂したり、後悔や反省をしなくても大丈夫なのです。
なぜなら、今までの過去の経験も、自分で決めた人生のストーリーの通りの結果なのだと解釈すれば、この先は悪くなる訳がないからなのです。
人生は、「あの時、もしも」の繰り返しです。
たとえばあなたが優柔不断な性格だったとしても、過去に自分の決めたきたことは全て、すでに決まっていたシナリオからくる衝動なのだから、その選択に「間違いなどあり得ない」のだと信じることが出来れば、生きていくのがすごく楽になりますよね。
もしかしたら本当に「天の神様の言うとおり。」なのかもしれません。