心理カウンセラーの風湖です。
以前、あるTV局のバラエティー番組で、男性お笑い芸人さんが売れない女性タレントの相談を受けるという企画内容の放送を見たことがあります。
「もうずっと、いろんな番組のオーディションを受けているのですが、全く採用されません。どうすれば良いでしょうか。」
「今は、地方放送局のパチンコ番組の仕事がひとつだけあるだけなのです。」
すると、そのお笑い芸人さんが、このような回答をしていました。
「今、自分がどういう状況に置かれているのかについて感想を持つ必要はないし、評価を気にする必要はないと思う。今、自分がやるべきことは、自分の目の前にあるその仕事を大切にして、自分を支えてくれているスタッフを大事にすることだ。
やるべきことがあるのなら、それを精一杯やればいいのではないか。」
「たとえ収入の少ない仕事だとしても、それをどうやって増やそうかと考えるのではなく、『どれだけの人に喜んで貰えるか。』だけを考えればいい。」
「日々の一瞬一瞬を楽しんで生きていれば、評価など関係ないんじゃないかなぁ。」
私は、「なるほど。いい事言うなぁ。深いなぁ。」と感じました。
「売れたい」とばかり考えている人には、誰も応援はしてくれません。
なぜなら、「売れる」ことしか考えていないので、目の前の人、こと、ものを大事にしていないからです。
ローカル放送局の番組であろうとなかろうと、目の前にいるすべての人に対して「自分の出来ること。」を一所懸命やっていれば、必ず誰かの目にとまるはずです。
実際、その女性タレントさんは、そのアドバイスに心を打たれ、素直に受け入れ、それから少しずつ売れていき、今ではとても有名人になりました。
私達は、過去のことも未来のことも考える必要はないと思います。
私達の人生は、昨日のことも、今朝のことも、5分前のこともすでに過去なのです。
だとすれば、過ぎてしまった過去について考える必要がありません。
また、明日のことを考える必要もありません。
一晩寝て、また起きたら今日になるのですから。
今、目の前にいる人を大事にしましょう。
目の前にやるべきことがあったら、ただひたすら大事にやっていきましょう。
私達に出来ることは、ただそれだけなのではないかと思うのです。
私達は、出来るだけたくさんのものを手に入れようとしてもがき苦しみ、それゆえに何かに縛られたり、とらわれているように思えるのではないでしょうか。
「こうでなければ嫌だ。」
「どうしてもこうなって欲しい。」
そう思うことは、「執着」です。
「そうなったらいいな。」
「そうなると嬉しいな。」
そう思いながら、出来ることを精一杯やったのであれば、「そこから先は、神の領域」なのです。
私達がどんなに必死に頑張っても、せいぜい3人分か、5人分が限界でしょう。
力を抜いて、いただいた仕事を楽しんでやってみましょう。
きっと誰かがあなたの明るい表情を見ていてくれていますから。