心理カウンセラーの風湖です。



 先日、旧友と会いました。
 30年ぶりなのに、互いに「変わらないね。」と再会を喜び、懐かしい話題で盛り上がりました。



 しかし、「変わらないね。」とは言ったものの、さすがに長い年月が経っていますから、やはり「変わった」のも事実です。




 ふと、考えました。
 そもそも「変わらない」とは、一体なんなのだろう?」と。



 実は、ミクロな素粒子から成立するこの世界は、本来すべてのものが「非定常」なのです。
 私達の脳も分子レベルでは激しく変化しています。



 つまり、ミクロな視点から見れば、昨日と今日の自分は、別人と言えるほど変化しているのです。



 
 しかし、もともと私達人間には、ホメオスタシス(homeostasis)という機能が備わっています。



 ホメオスタシスとは、生体が変化することを拒否して、一定の状態を維持しようとする働きのことです。
 「恒常性」とも呼ばれます。



 ホメオスタシスとは本来、生物学の用語ですが、人間の心理について使われることもあります。
 


 心理学におけるホメオスタシスとは、「今のライフスタイルや環境をなるべく維持しよう。」という心理です。




 そのため、「自分を変えたい」と考えているときは、ホメオスタシスをいかに「解除」するかが重要なのですね。




 「国破れて山河あり」(杜甫)
 
 「国は滅んでかつての面影は失われてしまったが、故郷のうつくしい景色は在りつづける」という意味です。




 「ゆく川の流れは絶えずして、しかも、元の水にあらず」(鴨長明)
 
 流れ過ぎていく河の流れは途絶えることがなく、それでいて(そこを流れる水は)もとの水ではない。という意味です。




 私達は、変化する世界を認知することではじめて、変化せずに留まる何かを感じとることができるのです。



 懐かしい友人の顔も、長い年月を経て変わったからこそ、変わらない「面影」を発見することができるのですね。



 今年は特に、世界中の人々の生活を一変させた新型コロナウィルス感染拡大の影響で、今現在もどんどん変わっていく世界を目の当たりにしています。



 しかしその中でも人間は、変わらないものを探して選ぶという高度な認識機能が備わっていることは確かなようです。



 そんな脳の機能に感謝ですね。