心理カウンセラーの風湖です。
「せっかく心理学を学んでも、しばらくしたら忘れてしまうのが怖いです。先生の心理学をずっと学んで行きたいのです。」
こんな生徒さんの嬉しい声を聞く事はとても多いです。
現在、私が行っている心理学講座では、ある一定のプログラムの期間が設けられていて、そのプログラム期間が終了に近づくと、生徒の皆さんは「もっと学びたい。」と思うようになるようなのです。
ではなぜ人は、学んだことを「忘れてしまうような気がする」のでしょうか。
よく、年齢を重ねると「忘れっぽくなる」と言いますが、実はトロント大学が行った新しい研究では、忘れっぽいということは実は「優れた知性のサイン」だとわかったのだそうです。
トロント大学の研究では、人間の記憶は、価値のある情報だけを覚えて、重要でないディテールは忘れてしまうことによって、基本的には重要なことのために場所を空けて、意思決定を最適化していると指摘しています。
例えば、過去の出来事についての細かな情報を忘れてしまったとしても、広い観点からは覚えていますよね。
この研究の執筆者の一人、ブレイク・リチャーズ教授はこう説明しています。
「脳が関係ないディテールを忘れて、その代わり現実の世界で意思決定するのに役立つことにフォーカスするのは重要なことです」と。
脳には、インプットとアウトプットがあります。
身体感覚(入力)と身体運動(出力)の2つが、脳にとって社会との接点のすべてです。
そして脳は、アウトプットすることで「記憶」します。
つまり、脳に記憶される情報は、どれだけその情報が脳に入って来たかではなく、どれほどその情報が必要とされる状況に至ったか、つまり、その情報をどれだけ「使ったか」を基準にして選択されるのです。
例えば、大きなデパートで働いている人は毎日多くのいろいろな人に会うので、その全員を覚えてはいられませんよね。
しかし、一方で小さなブティックで働いている人は常連客の性格まで覚えているのです。
リチャーズ教授によると、記憶を蓄えておく最良のテクニックは、「何でもすべて覚えておこうとしない」ことだといいます。
もし脳が常に役に立たない情報を全て覚えていたとしたら、意思決定しようとしても、それができなくなってしまいます。
脳にインプットすることと、アウトプットすること、あえてどちらが大切かと聞かれたら、私は躊躇なく「アウトプットです。」と、答えます。
身体感覚よりも、身体運動の方が脳の記憶にとっては大切なのです。
それでも、心理学はいつまでも覚えておきたい学びですよね。
ですから、もう1度体験して脳に記憶させるために、いいえそれだけではなく、心理学に初めて触れる人達の脳のためにも、これから、「身体を動かしてアウトプットするための心理学講座」なども私は考えています。
さあ、じっとしていられなくなりました。
私は、身体運動をはじめますよ。