心理カウンセラーの風湖です。



 最近では、4Kによる映像処理の鮮明化が素晴らしく、古い映画などの配信もBSやCSなどで綺麗に見られるようになりました。



 ですから、今から40年ほど昔、大人気だった日本映画の「男はつらいよ」シリーズなども楽しんで観られたりするのが嬉しいですね。




 フーテンの寅さんこと、車寅次郎。
 言わずと知れた映画「男はつらいよ」の愛すべき主人公です。


 ガサツで口が悪く頑固者。

 人情味あふれる昔かたぎの男。

 惚れっぽいくせに意中の女性を前にするとからっきし。


 一つの場所に留まることができず、家族の心配をよそに思い立ったら、ふらふらと旅に出てしまうのです。


 寅さんの家族は、当然のごとく寅さんに振り回されてしまいます。


 寅さんが旅に出ている間は平和そのものなのに、旅から戻ってきた途端に、彼らの生活はかき乱されます。


 見ているこちらとしては、寅さんは家族にとってどうしようもない厄病神に思えて来ます。


 しかし、寅さんには人間的魅力があります。

 寅さんはかなりの苦労人なのです。

 実の母は妾。

 しかも生まれてすぐに、実の母に捨てられてしまいます。


 そして優しい育ての母には、早くに死なれてしまい、頼りにすべき親父には厄介者扱いを受けたという経験の持ち主なのです。


 寅さんは、何故ふらふらと旅に出るのか。


 その心理は、女性にはよくわからないのでしょうが、男性にはわかるのではないでしょうか。


 どこか冒険心というか、まだ見たことのない、知らない世界の何かを求めて旅に出る。


 そんな男性の心理が、人の心を動かすのではないかと思うのです。


 そして、美しいマドンナと出会い、仲良くなり、その報告をしたくて家族のいる浅草に戻って来ます。


 男性が外の世界で大きな何かを発見して、それに感動して、家族にその思いを伝えたくて家に戻る。


 それは、現代においても男性の行動の基本的な心理に基づいているのではないかと思うのです。


 苦労のない人生は憧れですが、それだけではつまらないし誰からも愛されません。

 

 人は苦労をすることで優しくなれるし、魅力的になれるのです。


 私は女性ですから、幼い頃は寅さんがなぜこんなに多くの人から愛されるのか不思議だったのですが、最近はなんとなくわかったような気がするのです。


 人生は旅だといいます。


 大きな心で、まだ知らない見たこともない世界の何かを探す事こそ、夢であり、目標にして生きて行きたいと思っています。