心理カウンセラーの風湖です。



 史上最年少の14歳でデビューしたプロ棋士、藤井聡太さんの活躍がとても話題になっていますよね。



 彼が登場して来る以前の棋士達は、加藤一二三九段の対局をはじめ、昭和の将棋の棋譜を見て、それを盤上に再現しながら頭をひねっていたのだそうです。



 しかし、AI世代の棋士の多くは、「昭和の将棋を研究したことなどはないのではないか」と言う専門家もいます。




 個人差があることなので一概には言い切れないのでしょうが、昭和の棋譜どころか、近年のものでもプロ同士の対局で残された棋譜を振り返ることも少ないのではないかというのです。





 ところで、将棋のプロは何手先までも膨大な指し手をシュミレーションしながら対局をしていると聞いたことがありませんか?
 



 それでは一体、プロ棋士の皆さんの脳の中は対局中どのように動いているのでしょうか。
 私達の脳の働きと、なにか違いがあるのでしょうか?



 私は少し興味があったので、調べてみました。




 まず、棋士が将棋を指す時には、脳の中で「大脳基底核」という部位が動いているのだそうです。




 「大脳基底核」とは、「第六感」と言われるような直感力、つまりハッキリと言葉にするのは難しい「直感」を司る部位です。




 
 私達の周りにも、勘の鋭い人っていますよね。
 運動神経に個人差や遺伝的要素が含まれるのと同じように、「勘の鋭さ」にも個人差や遺伝的要素があるようです。




 そして、優れた「勘の良さ」を持った棋士は、言葉では上手く説明出来なくても、スムーズに答えが出てくるのだそうです。
 しかもプロとアマを比べると、その差は歴然なのだとか。




 そしてプロ棋士の皆さんの脳の中では、過去の試合の棋譜など、あらゆるデータを総動員しながら、目の前の将棋の勝負で何が起こるか未来予測していくのです。



 
 もちろんそれはたくさんの経験を積み重ねた結果、プロ棋士は高スピードかつ高精度で次の一手を指すようになるのだそうですが、多くの場合、これも実は「直感」なのだそうです。



 そこも大脳基底核が瞬時に棋譜を読んでいるのですね。



 運動で言えば、例えばプロテニスプレイヤーの大脳基底核の計算は凄まじい速さなのだそうです。
 なにしろ、何十という筋肉の動きを一瞬で計算しながら、時速200キロのサーブを、相手が苦手なところに正確なリターンで返すことさえ出来るのですからね。



 つまり大脳基底核は、運動神経と同じように直感力にも関係しています。
 ウソを見抜くのが異様にうまい人も、いわゆる直感ですよね。



 もちろん、経験データを集積しなければ直感力は働きませんから、生まれて以後どんな経験を積んで来たかが重要なのは明らかです。




 将棋にしてもトランプゲームにしても、同じだけ努力しても上達が早い人と遅い人がいますが、たとえその習得が遅い人でも、繰り返せば必ず上達はするのです。



 つまり、プロ棋士は、たくさんの打ち手をシュミレーションするけれど、その大枠の絞り込みは実は「直感力」でやっているわけですね。



 そう考えると、人の「第六感」も「将棋の対局」も、なんとなくモヤッとしていて「人間らしさ」の象徴のような気がしますね。




 私達の脳も、普段意識的に使われている部分は、全体の9割以下と言われていて、その下に埋もれている潜在意識には、実に膨大な量の情報が隠れているのです。




 自分でもよくわからないのに、何故か答えが出てきてしまう「勘」。
 それは実は、潜在意識の中にあるあなたの記憶の映像がパッと現れて来る現象なのかもしれません。




 よく考えれば、脳の神経活動は科学反応の連鎖ですから、プロ棋士がもつ「勘」も、私達の潜在意識から来る「直感」も、人間らしさという点ではどの答えも正解なのではないでしょうか。




 しかし1度しかない人生というゲームに、正確さは必要ありませんから、自分の直感を信じて、「何が正しいか」ではなく、「何が楽しそうか」を重視した方が正解だとは思いませんか?




 人の脳は、成長が早いのが特徴です。
 若くて非常に少数の経験でも十分に強くなれます。




 しかも、必ずしも自分よりも強い人と勝負する必要はありません。
 弱い人と戦っても、どんどん成長することが出来るのだそうですよ。



 このあたりに、人間の脳の特徴、つまり「人間らしさ」そして「人生の成功」のヒントが隠されているように思うのです。