心理カウンセラーの風湖です。
「私は一人旅が好きです。小さな頃からずっと1人でいることが多かったので、いろんな国を1人で旅をして来ました。」
そのように話してくださった女性がいました。
そしてその方は、旅の途中で出会ったイスラエル人と結婚をしました。
しかし何年かした後、文化の違いに馴染めず旦那さんを残したまま、日本に帰って来てしまったのです。
そんな時に私のところに来てくださって、深いため息と共にこう言いました。
「私は、結婚には向いていないのではないかと思うのです。彼には本当に優しくしてもらったのに、その愛にさえ煩わしさを感じてしまいます。
ひとりになりたいと、つい思ってしまうのです。本当は寂しいのに。」
彼女の話をいろいろ聞いていると、どうやら実は彼女のお母さんに原因があるようなのです。
彼女は東京で生まれ育ったのですが、彼女のお母さんは、沖縄県の出身でした。
就職先の東京で恋愛結婚をして彼女を産んだのですが、東京と沖縄では言葉も文化も全く違うので、都会で浮いていると感じた母親は、上手く周りとのコミュニケーションをとることが出来なかったといいます。
もちろんママ友達の集まりにも参加せず、いつも孤独で寂しそうだったのだそうです。
彼女は、お母さんのその姿を見ては、
「なぜうちのお母さんは、いつも1人でいるのだろう。運動会や授業参観日に来てくれても、誰とも話さない。」
と、不思議だったそうです。
「知的好奇心」という言葉があります。
「知的好奇心」とは、物事に対して知ることへの欲求や、知りたいという気持ちのことを指します。
主に、子供の頃の脳の成長のためにはとても大切で必要な好奇心なのですが、その好奇心が大人になってから、無意識に因果を引き起こすことがあるのです。
例えば、子供が大人の不可解な行動を見ていて、「なぜこんな行動をするのかなぁ?」と不思議に思った事を、大人になってから同じ行動をすることでその気持ちを知りたいと思うのですね。
その女性は、自分のお母さんがいつも1人でいたことの理由を知りたいという探究心が、「1人が好きだから結婚に向かない」と思い込むことで、「孤独になりたい自分」を作ってしまったのかもしれません。
子供の頃に虐待を受けていた人が、大人になってから自分の子供にも同じように暴力をふるってしまい、後から悩んでしまう方や、何故かお酒やギャンブルに依存してしまう方なども、この知的好奇心が、無意識のうちに行動に移してしまうのかもしれません。
あなたの経験した過去は、間違いなくあなたの脳の中に存在するものなのですが、その経験はなぜあなたの記憶にいつまでも残っているのかを、ぜひ一度考えてみてください。
その経験は、もしかしたらあなたになんらかの使命を与えているのかもしれません。
それは、あなたと同じような悩みを抱えている人を救うためのものかもしれませんし、新しい自分の人生を見つけるための材料なのかもしれません。
その女性は、そのあとで気付いたそうです。
自分の母親も、自分の夫も確かに寂しそうだったのだと。
自分と全く同じ気持ちだったのだと。
それならば、今まで自分のそばにいてくれた母親や夫に、今度は自分の笑顔で癒してあげようと決めたと言ってくれました。
因果は、何も考えなければいつまでも無意識に巡ってしまいます。
愛と感謝で、自分の成長に繋げてくださいね。