心理カウンセラーの風湖です。
あなたは、誰かに嫉妬していませんか?
先日、なんとなくTVをつけたら、一般の女性が美容整形手術を受けて自分のコンプレックスである部分を修正し、ゲストの芸能人の皆さんが、劇的に変わったその姿を絶賛している番組を放送していました。
私は、美容整形を否定的に考えているわけではありません。
本人がそれに依存せず、ネガティブな感情から幸せな感情に変わるのであれば、それは素晴らしいことなのではないかと思うからです。
人間が感じる、自分の顔や身体に対する不満感は、先進国で育った女性に特に強いと言われています。
「身体が太い」とか「顔のシミ」などの身体的な劣等感は、社会文化的な環境によって植え付けられた心理のようです。
そして、妬みや劣等感は「社会的感情」と呼ばれるカテゴリーに属します。
他人との比較によって生じる感情だからです。
サルやイヌにも嫉妬に似た行動をすることがありますが、なんといっても私達人間に強烈に備わった感情であると言って良いでしょう。
言うまでもなく、その感情の要因はメディアにあります。
ファッション雑誌やテレビなどに出てくる、極端に細い女性やモデルのスタイルを、多くの一般女性達は「スタイル良いなぁ」として理想化するからです。
脳科学の研究によると、16歳から35歳までの女性20人を集めてモデルの極度に細いモデルの体型を見た時に、より強く感じる脳部位は、「不安情動」や「苦痛」に関与する場所だったそうです。
女性の皆さんがなんとなく不安感を覚える時は、実は誰かに嫉妬しているからかもしれませんね。
さらに、「妬み」の感情を実験したところ、一般の人達を集めて「かつての同級生が社会的に成功して、羨ましい生活を送っているシーンを想像してもらった」ところ、やはり「不安」を感じさせたのだそうです。
私が小学生だった頃、「勉強が出来て運動も出来る」というなんとも羨ましい才能を持った同級生がいました。
やはり、異性にモテていました。
ちなみに、公立小学校の3年生から5年生について運動能力と学力の関係を大規模に調べたところ、「運動が得意な生徒ほど、勉強の成績も良い」という、なんとも身もふたもない関係性が認められたそうです。
それはそれは「その他の生徒」達からの羨望の眼差しは強く感じていたでしょうね。
しかし、「その羨むべき同級生が、不慮の事故や配偶者の浮気などで不幸に陥った。」ことを知ったときの人々の脳活動を記録したら、興味深いことに「快感」を生み出す脳部位、つまり「報酬系」の活動が強くなったそうです。
シャーデンフロイデという言葉があります。
他人の不幸を喜ぶ感情のことです。
他人の失敗を喜ぶなどという露骨な行為は、「汚らわしい」心として嫌われます。
しかし、他人の不幸を気持ちよく感じてしまう本心は、感情として脳に備わっているのです。
報酬系は、いわば脳へのご褒美です。
報酬は、やる気やモチベーションとも深く関与します。
ですから、「他人の不幸をバネに」と自身を鼓舞することは、普通の心理傾向なのかもしれません。
この辺りの人間の心理は、なかなか微妙です。
ちなみに、他人の不幸を喜ぶ感情は、女性よりも男性の方が強いのだそうですよ。
妬ましい誰かを見返してやりたいと、モチベーションを上げる事も、人のやる気を導く手段のひとつなのかもしれません。
人は、なんとも複雑なのですね。