心理カウンセラーの風湖です。


 私は、普段心理学を教えていますが、最近は、インナーチャイルドの受講を希望する人が増えて来ました。


 その受講希望理由のひとつに、「父親との確執」「母親との確執」を挙げる人も多いと感じます。


 そこで今回は、心理学者のユングとフロイトの提唱する「エレクトラコンプレックス」と、「エディプスコンプレックス」について少し簡単に書いておきます。



 まず、「エディプスコンプレックス」とは、わかりやすく言うと、男児は、母親に異性感情を抱きますが、社会的にそれが許されないために、自分の気持ちを抑えるという理論です。


 そして、自分は男であるから、いつか、父親のような存在になることができ、母親のような女性をめとることができるという意識を持つことによって、それを納得します。


 
 そして、母親とは別な女性に愛情を抱くようになるというものです。このようにして、男の幼児の欲望は変化して、社会的なシステムに組み込まれていくのです。



 ところで、エディプスコンプレックスは、心理学では多くの人に知れ渡っていますが、一般に、男児の母親に対する報われない恋愛感情として理解され、成長とともに消滅されるものとされています。


 しかし、ここには、人間の心理のあり方を解く大きな鍵が隠されているのです。


 男児が母親を恋い慕っても、父親から自分が母親の子供だから、父親も周囲の人からも、母親に対する恋愛感情に反対されるはずだと気づくのです。


 それは、母親に対する恋愛感情のめざめと同時に、男児のその家の中でのステータス(自分の位置)の発見、めざめなのですね。






 次に、ユングの提唱する「エレクトラコンプレックス」についてです。


 
 それは、女児が父親を愛しすぎて母親を殺してしまうギリシア神話に出てくるお姫さまになぞらえて「エレクトラコンプレックス」と言います。



 男の子が、母親が大好きで父親をライバル視する気持ちを「エディプス・コンプレックス」と言うのと対になる概念として、父親が大好きな女の子が母親をライバル視することを「エレクトラコンプレックス」と呼ぶのです。


 
 しかし、ここではそんな女の子が「男の子の方がよかったのに!」と思う気持ちの方に焦点をあてて解説をします。


 男性に対してやけに競争心を燃やして突っかかってくる女性が、実は、「お父さんが大好き」。つまり「男性のことが大好き」だとお気づきでない男性は多いかもしれません。


 いえ、当の女性自身も気づいていらっしゃらないかもしれませんね。


 でも、実は、そんな女性ほど、男性を心の奥底では「神さま」のように高いところにおいて崇めていて、実際の男性陣が彼女の心の奥にいる男性像の完璧さに見合わないことに一番がっかりして傷ついているものなのです。


 そんな、男性が大好きすぎて、自分も男性になりたかったのになれず、女性としての幸せな人生を受け取りきれない女性独自の心理なのです。


 男性もぜひ、この女ゴコロに興味をもってくださいね。あなたの天敵かと思っていた女性が、案外一番の味方になる日がくるかもしれません。


 いずれにしても、男女とも、人間の行動の基になるエネルギーは、両親への愛が報われないと悟ってからの葛藤から来るという理論なのですね。


 知っていた人も、知らなかった人も、その時に確かに深く傷ついた自分の姿を思い出し、それがトラウマとなって、再び傷付くのが怖くて、自分の人生なのに自分の意思で行動すると、両親に嫌われると恐れてしまい、恋愛も結婚も戸惑ってしまう自分を愛してあげてください。


 あなたは、もう子供ではなく、両親から見たらすでに自立した大人なのですから。


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