心理カウンセラーの風湖です。


 7月も後半になりました。


 今月はじめに七夕様にお願い事をしたという親子は、現在ではどのくらいいらっしゃるのでしょうか。


 「先生は、子供を褒めて育てればそういう子になるとよく言われますが、私の子供はとても生意気で、イタズラばかり。褒めたくても、いつも怒ってばかりです。」


 私の生徒さんの中には子育て中のお母さんも多く、そのような子育ての悩みを訴えられる方はとても多いですね。


 よく、「心理学の先生をしていれば、ご自分のお子さんの心が分かるんですよね」と聞かれますが、心理学を勉強していても、全員が子どもの気持ちを理解できているとは限らないと思います。


 さてみなさんは、小学館から出版されている、くすのきしげのり先生作の「おこだでませんように」という絵本を知っていますか?


 私は、ずいぶん前にこの絵本を購入し、読み終わった後は涙が溢れて止まりませんでした。


 ある、小学校一年生の男の子が、七夕様へのお願いを一枚の短冊に託した言葉。

 「おこだでませんように」


 
 作者は、小学校の先生なのだそうです。そして、この短冊を実際に見たときに、さほど深くは考えない大人と「この子はどういう気持ちでこのお願いを書いたんだろう」とつらい気持ちに気付いてあげられる大人……2通りいると、後書きに書かれていらっしゃいます。


 子育てに悩む親達に先ず考えて欲しい事。それは、子どもと接した経験の多寡よりも、子どもが出しているサインをどう汲み取るかのほうが大事なのではないでしょうか、という事です。


 私自身、小さいころはよく怒られる子だったのです。「なんで大人は分かってくれないのかなぁ」と思うことも多かったですね。



 どんな大人でもイヤだったこと、うれしかったこと……子ども時代の記憶は残っていますよね。



 この絵本の中では、様々な日常の何気ないシーンが描かれています。たとえば家で留守番しながら妹の面倒を見ているシーンで、たんすの上に飾ってあるのはお母さんと男の子、妹の3人が写った写真です。



 ここからお母さんが一人で頑張って働きながら、2人の子育てをしている家庭だということが分かります。



 男の子の手元には『やさしいおりがみ』というタイトルの本が置かれています。妹が泣き出すまでは、本を見ながら一生懸命折り紙を折ってあげていた……そういう優しい心を持った子なのです。







 



 今の自分が一番望んでいることって一体何だろう。子どもも大人も自分の心に向き合うことが、幸せという願いをかなえる第一歩になると思っています。



 たどたどしい字で一生懸命書かれた短冊の短い文を見て、私は「この子はどんな思いでこれを書いたんだろう」と、胸を突かれる思いでした。


 きっと、普段からよく怒られていて、それを悲しく思っているんだろう。そこから、たくさんの子育てのシーンが浮かび上がって来ます。


 私も実は、男の子と女の子を育てた経験のあるシングルマザーなのですが、子育て中の今だからこそ、自分を成長させるチャンスがたくさんあるのではないかと思います。


 「ぼくはどないしたらおこられへんのやろ。
 ぼくは、どないしたらほめてもらえるのやろ。
 ぼくは、わるいこなんやろか。」


 そんな風に考えながら夜、布団をかぶって眠る男の子の姿に、子供達一人一人にその時々に揺れ動く心があるのではないかと考えさせられます。


 このお話の「ぼく」のように、私達大人こそが何事にも囚われない素直な心を取り戻し、子供達の心の中にある、祈りのような思いに気づいてあげられるようにしたいですよね。


 世間体や、他人からの評価や、自己評価よりもはるかに大切なもの。


 それは、子供の頃の純粋で素直な自分の心をもう一度思い出して、子供と一緒に成長する、そんな自分を尊敬してあげる事なのかなぁと思っています。