心理カウンセラーの風湖です。
昔、大ヒットしたテレビドラマ「やまとなでしこ」を知っていますか?
客室乗務員の神野桜子は、気配り上手で類まれな美貌を持つのですが、貧しい漁師の家に生まれた過去を隠して、お金持ちと結婚する事を夢に見ていたのです。
そして、彼女の同僚たちと共に、日々合コンに情熱を燃やしていました。
大病院の御曹司を射止めても、更なる標的を狙う桜子の前に現れたのは、超金持ちの医者・中原欧介でした。
しかし本当の彼は、小さな魚屋で恋愛に臆病だったのです。
心よりお金が大事と公言する一方で、亡き母が教えてくれたお金では買えないたった一つのものが頭を離れない桜子が、本当の恋を見つけるまでを描く物語でした。
恋愛コメディドラマなのですが、このドラマの心の移り変わりは、心理学的に見るととても良く出来ていて、勉強になるなと感じます。
それは、主人公は自分を嘘で固めていて、気に入られたいと願っているにもかかわらず、相手に素直になれずに喧嘩ばかりを繰り返してしまうという点です。
この2人がお互いに自分の本当の姿を隠してしまうのは、「本当の私を知ったら、嫌われてしまうのではないか?」という切ない恋心なのだと思いますよね。
しかし、この「嫌われる」という不安な感情は、自分が自分を偽っているという罪悪感を自分が感じたくないために、無意識のうちに相手を責めるという行動にさせてしまうのですね。
何故なら、自分に対する罪悪感は、相手を責めている時にだけ感じなくても良いからなのです。
それは実は、
「自分には隠したいものがあるのだから、自分は相手から全身で愛される訳がない」
「いつかバレたらバチが当たる。それくらい自分は罪深い人間なのだ。」
と、思ってしまうという心理なのですね。
私のクライアントさんで、以前このような方がいらっしゃいました。
自分の容姿に全く自信のなかった女性なのですが、理想の男性はとてもイケメンで、そんな男性と結婚するのが夢で、コンプレックスを隠したいために整形手術を繰り返していました。
やがてそんなイケメンの彼と付き合う事が出来たのですが、彼がとても愛してくれるのに、やはり素直に喜ぶ事が出来なかったそうです。
「いつか彼に整形手術の過去がバレたら嫌われてしまうのではないか。」
そんな風に思ってしまうから、次第に彼の前ではいつもツンケンしてスネたり、なんでもない彼の一言で急に怒ったりしてしまうようになってしまったのだそうです。
そして、そんな彼女に疲れてしまった彼は、やがて彼女の前から去ってしまいました。
しかし、その彼女は、なぜかホッとしたのだそうです。
彼女は言いました。
「彼はとても優しくて、一緒にいると幸せでした。でも、何故か距離が遠く感じて、わがままばかりを繰り返してしまいました。」
嘘をつくと、素直に誰かを愛してあげられなくなってしまうのですね。
すると人は、相手がどんな人でも関係なく、ただ「愛せない」という自分が大嫌いになってしまうのです。
そして、「こんなダメな私が愛される訳がない。」と考えて、自分からお別れする道を選んでしまうのですね。
嘘は、人間関係を構築する道を塞いでしまいます。
信じられないかも知れませんが、多少わがままでも、多少コンプレックスを持っていても、そんなあなたを「かわいい」と思ってくれる人はたくさんいるのですよ。
自分自身に罪悪感を持たずに、全て個性だと受け入れて、相手を素直に愛し、そして自分自身を愛して幸せにしてあげてくださいね。