心理カウンセラーの風湖です。


 私の生徒さんで、45歳の男性がいらっしゃるのですが、7月から管理職になるよう会社から辞令が出て、組織のリーダーになるのです、と言われた方がいらっしゃいました。


 彼は、自分のして来た事が認められた事はもちろん嬉しいのですが、その反面、少し不安もあります、と言っていました。


 その理由は、かつて自分の判断ミスで失敗し、会社に迷惑をかけてしまった経験があり、なおかつ新しい土地での勤務になるので、自分のコミュニケーション能力にも自信がないからなのだそうです。


 リーダーの条件は様々あるとは思いますが、かつての時代は、

 「頭の良い人」
 「熱意のある人」
 「決断力、実行力のある人」


 が代表的で、この3つの要素を備えていれば素晴らしいリーダーになる事が出来ました。


 しかし、時代が変わって行くにつれて、それだけでは足りなくなりました。


 「自分の欠点を言える事。」
 「仲間を大切にする力がある事。」
 「間違いを認める力がある事。」


 と言った要素も必要になって来たのだそうです。


 SONYの元役員で、作家でもある土井利忠さんの対談記事を読んだ事があります。


 「以前のSONYは、自然にどんどん新しいアイデアが出てくる風土がありました。
 しかし、成果やマニュアルが重視されるようになって、独創的なアイデアを生み出す力が弱まって来たように感じます。
 効果的な経営よりも、非効果的な経営の方が新しい考え方を生み出す可能性が高くなるのです。」


  と、指摘をされていました。


 確かに、マニュアルには効率的で無駄がありません。


 しかし、マニュアルは、他の人が作った物なので、自分から「やってやる!」というモチベーションはだんだん衰えていくのですね。


 その結果、考える力、新しい考え方を生み出す能力が低下してしまいます。


 もちろん、成果主義を全面的に否定するわけではありません。

 
 しかし、自分は何のためにこの組織のリーダーとなったのかを明確にして、組織の目的のために自分の立場を捨てる事が出来る、それこそがリーダーの条件になるのだと私は思います。


 どれだけ自分が正しいと思っていても、その信念を貫くだけではなく、異なる意見が出たら再度考えを検証してみる、そして場合によっては「自分の立場を捨ててもいい」という考え方を大切にするのです。


 リーダーには、自分の立場を守るだけの本能が求められているわけではありません。


 まずは部下への愛情と、感謝と、勇気を大切にして、独創的なアイデアを生み出すように頭を柔らかくして、周りの人達を笑顔に出来る、魅力のあるリーダーを目指して、楽しんで頂ける事を切に願います。