心理カウンセラーの風湖です。

 「何故あなたはその人を結婚相手に選んだのですか?」

 そう質問された時に、どう回答するかで将来幸せになれるのかどうかが予測出来るのだとしたら、あなたはなんと答えるでしょうか。

 「恋は盲目だ。」というセリフは良く聞きます。異性の誰かを好きになると、その相手の悪いところが見えなくなる、という意味なのでしょうね。

 私達の脳の中に受け取る情報は、いかに曖昧に認識されるのかが分かる言葉です。しかし、私達は、この曖昧さがあるからこそ様々な情報に翻弄される事なく生活が出来るのだとも言えます。

 そして、この曖昧さは、幸せな恋愛には絶対的に欠かせない要素なのです。


 私達が住むこの地球上には、およそ70億人の人間がいると言われています。
 
 そのうちの半数が男女の比率だとしたら、この地球上で自分と最も「正確に」相性の合う理想的な結婚相手を探す為には、35億人ひとりひとりに会いに行かなくてはなりません。

 そんな行動をとって確認作業をする事は物理的に難しいでしょうから、私達は「出会い」に意味を付けて、「感覚」で結婚相手を選ぶしかないのです。

 さて、いざ恋愛をするためには、モチベーションが必要です。例えば、「ワクワクしたい」「愛されたい」「幸せを感じたい。」などです。

 モチベーションは人によって様々ですが、心理学的には2つに分類する事が出来ます。

 「内発的動機」と、「外発的動機」です。

 「内発的動機」は、いわば純粋なやる気です。

 「何故その人を選んだのですか。」と問われ、「理由もなく好き。」「一緒にいるだけで嬉しい。」「もっと相手の事を知りたい。」と、答えるのがそれです。

 要するに、「好きだから」選んだのです。

 一方、「外発的動機」は、具体的な目標に向かう物です。

 「出世しそう」「お金持ち」「外見が良いから自慢出来る」などです。

 内発的動機との決定的な違いは、これらを得るためには恋愛以外にも手段があるという事です。

 名声や収入のためならば、方法はいくらでもあります。

 一方、内発的動機には他の方法はありません。

 「理由など無いけれど好き。」「一緒にいるだけで嬉しい」には、他に目的を達成するルートはありません。

 さて、その他に、「親が賛成したから。」とか、「お見合いを勧められたから。」という人もいます。

 それも、「褒められたい」「認められたい」という外発的動機なのだと思います。

 心理学的な研究によると、人が仕事や結婚などの様々な選択をする場合に、内発的動機の強い人の方が、外発的動機の強い人よりも1.5倍ほど幸せを感じる確率が高い事が分かりました。

 生涯、その選択をずっと継続出来た人も、2倍の数になったそうです。これは予想通りでしょう。

 ところが面白いことに、外発的動機の強い人は、生涯それを継続する率が20%も下がってしまうのです。

 私達は、やる気を継続するためには、目標や夢は多いほど良いのではないかと、つい考えてしまいます。

 しかし、実際には逆で、目標を明確に掲げる人ほど、案外モチベーションは長続きしないのですね。

 自分の行動を理論的に正当化する人は、なんらかの裏の心理がある事を、本人にも気付いていないからなのかもしれません。

 「単に好きだから一緒にいたい。」という人が、最終的に幸せになっている事は確かです。

 人の行動に理由などいりません。誰かを好きになる事にも理由など無い方が良いのです。

 結局は、「好き」が肝心。

 「将来の目標を常に掲げて生きて行きなさい。」とする最近の教育も、少し考え直した方が良いのではないかと私は思うのです。