心理カウンセラーの風湖です。

「親に相談してみます。」
「そんな事をしたら、親がなんと言うか…。」

  そんな風に、二十歳を過ぎても、親の意見が自分の選択肢を左右している方はとても多いです。

 自分を育ててくれた親の意見を尊重する。それはとても素晴らしい事なのですが、例えば自分が本当にやりたい事があったとしても、まずは親に相談して、それに反対されたらすぐに諦めてしまうのです。

 そしてそこからはチャレンジをしようとしません。それが当たり前だと納得し、親が言ったのだからと安心して、本当の自分の使命も才能も追求しようとしないのですね。

 そして、やがて年齢を重ねてから自分の人生の夢や目標が見つからず、何に対しても情熱を感じる事もなく、人生が全て周りに流されてばかりで中途半端になって行く事に気がついていないのです。

 しかし、大抵の場合、親の価値観は現代の常識とは大きく違っている場合が多く、コミュニケーションなどにもズレを感じたり、生き辛さを感じたりして、そこから悩みに発展して行ってしまうのですね。

 そのような方は、小さい頃から親の言う事を忠実に守り、そうする事で褒められたり成功したりしています。ですから、自分からは何も行動しようとはしません。親の価値観がいつの間にか自分の信念に変わってしまうのですね。

 そんなライフスタイル(性格)は、いつ頃、何故、どのように出来上がってしまうのでしょうか。
 
 人間の性格と言うのは、実は生まれてすぐからすでに作り始めているそうです。

 そして多くの場合、10歳くらいまでの間に出来上がると言われています。

 私達は、子供時代にその育った環境の中で、その雰囲気や家族間の人間関係、兄弟間でそれぞれの役割を独自で見つけて作り上げる場合が多いそうです。

 ですから人の性格は、親の遺伝ではなく、家庭の中での試行錯誤の繰り返しの結果、自分で作り上げている場合が多いのですね。

 例えば、長男は勉強が得意で真面目、次男はスポーツが得意で活発、末っ子の三男はゲーム好きで内向的など、それぞれの得意分野や違った個性を持つ事は良くあることです。

 そうなるのには、明確な理由があります。
 
 子供にとって家庭は世界そのものなのです。

 最初に生まれた第一子は、親の愛を独占して育ちます。しかし、第二子が生まれると突如として独占状態を失い、親の愛を下の子供に奪われてしまいます。

 そこから兄弟間で親の愛の奪い合いが始まります。

 それぞれがそれぞれの得意分野でアピールし、親の関心を奪い合いますから、子供の性格形成には、親子関係よりも兄弟関係が大きく影響するのですね。

 それに対し、一人っ子には競争相手がいません。当然、親子の関係が濃密ですから、親の影響を強く受けがちなのです。

 例えば、親が心配症の場合、子供も自信がなく不安を感じやすい性格になるケースが多くあるようです。

 いずれにしても、両親が持っている価値観をそのまま受け継ぐ場合が多いのです。

 「学歴が大事」や、「お金が全て」「男は男らしく」など、親の価値観がそのまま子供の価値観になるのです。

 しかし、当たり前ですが現代は、親が育った時代とは確実に違います。

 ですから私達は、二十歳を迎えたら、自分独自の価値観を作り上げる必要があります。

 子供は自分の意思で自己決定性を持っているという事を忘れないで下さい。

 親の言う事は聞くべき。
 親は大切にしなくてはならない。
 親とは仲良くしなくてはいけない。

 そんな事はありません。
 いろんな形の親子の関係があっても良いのです。

 そして自分の性格は、大人になっても変える事が出来ます。その準備も材料も応援してくれる人も、すでに自分の中に備わっているのです。

 あとは、実行するだけです。

 変わる事を恐れてしまうのは、人間ならではの特徴ですが、人間はいつでも何歳からでも、死ぬまで変わるチャンスはあるのですから、勇気を出して親の価値観から自分の価値観に変えてみて欲しいと思うのです。

 もしも、親の価値観がおかしいのでは無いかと思い、なんとなく生きづらさを感じたら、自分の考え方を変えて、自力で考えて選択する力を身に付ける事にチャレンジしてみてください。

 きっと、親にもあなたにも想像すら出来なかった素晴らしい未来があなたを待っていてくれるはずですよ。

 自分の人生や人間関係を円滑に充実させるのには、まず親子関係を良い距離感にしてから始まるのです。

 もちろん親を大事にしながら自分も大事にしてくださいね。