心理カウンセラーの風湖です。

ある、経営者の男性と話す機会がありました。

その方は、とても幸せそうな、でも控えめな笑顔で「自分は経営者になどなろうとは思っていなかったんだけど、自分の選んだ仕事を没頭してやっていたら、いつの間にか自分のやり方でやりたくなってしまってね。まだまだ世間には認められないけど、楽しいですよ。」
と、言っていらっしゃいました。

その時私はふと、松下幸之助さんの言葉を思い出しました。

丁稚から身を起こした松下幸之助さんは、誰もが知るパナソニック(旧松下電気産業)グループの創始者です。

皆さんも、「松下幸之助さんはスゴイ!」とは思っていらっしゃる方も多いでしょう。

凄く大変な思いをされたのだろうなと思いきや、子供時代に自転車屋の小僧として勤めていた松下さんは、その自転車屋さんの小僧の中で1番になろうとしただけだったといいます。

電気屋さんを志した時は、簡単なソケットを作り続けていたのだそうです。
それが、だんだん良いアィディアが浮かび、勘が働き、人脈を広げ、知らず知らずのうちに自分のレベルを上げて行ったのですね。

私達が教訓とするべきは、強運というのは必ず自分が手の届く範囲の努力、その積み重ねなのだと言う事なのです。
見知らぬ世界なのではなく、自分の手足の届く所に必ずチャンスがあるのです。

私達が今生きている人生のステージは、誰かから与えられた物でも偶然でもなんでもなくて、その人のレベルに合ったちょうどいい環境を自分で選択した中を生きているのだと思います。

仕事も、人間関係も、住んでいる場所も、今の自分にちょうど合っているのです。

それが気に入らなくなって来て、その上を目指したくなった時、人は他人と自分を見比べて慌てて一気に仕事や環境を変えようとしてしまいます。

すると、自分らしさまでをも見失ってしまい、誰かの真似をするから上手くいかない事が多いのですね。そして失敗も多くなってしまい、途中で諦める事を続けてしまいます。

諦める理由や、やりたくない理由を探すのは、人間の得意技です。やりたい理由はなかなか思い浮かばないのに、辞める理由は直ぐに思い浮かびます。

それは、人工知能にいずれ仕事を取られてしまうだろう原因のひとつだと思います。

そんな時は、ため息や愚痴をこぼすよりもまず、その時その時の、自分が出来る事だけやって見るのです。

急がない、引きずられない、巻き込まれない。

松下幸之助さんの言葉をまとめた「道をひらく」という本の冒頭に、

「自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。他の人には歩めない、自分だけしか歩めないこの道。

それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道が開けて来る。」

という文章があります。

自分と他人とは、顔も違えば気性も違います。
好みも違うし、得意技も違います。

人それぞれに力を尽くして、人それぞれに助け合いたいですよね。

いろんな人がいて良かった。様々な人がいて良かった。

そう、心から感じることが出来た時、自分の価値が上がり、いつの間にか次のステージに上がる事が出来ているのですから。