心理カウンセラーの風湖です。

「夢なんていりません。」
というと、クサイ台詞に聞こえるでしょうか。

よく自己啓発セミナーなどに参加すると、
「誰か憧れの人を目標にして下さい。」
とか、
「夢を持って生きて行きましょう。」
とか言われる事があります。

それは素晴らしい事です。
「あの人のようになりたい!」
「いつか成功したい!」
という目標は、生きるモチベーションも上がり、やる気につながるからです。

でも、人はこの「夢」のせいで、途中で自分らしさを見失ってしまう人もいるのです。

成功している方は、ハッキリとした夢を持っているように見えますよね。
でも、そんな事はありません。

私のカウンセリングを受けて下さっているある女性は、起業をしたいと言う目標がありました。
しかし、いまいち自分の理想的なビジョンがイメージとして湧かなくて悩んでいました。

起業するという事だけではなく、例えば習い事などでも、何かを始めたいと言う気持ちになった時に「夢はなんですか?」と、聞かれる場面も増えて来るので、答えられないと恥ずかしい思いをする事があります。

ですから、「何か明確な夢を持たなければ。」と思う人が多いのですね。

交流会などで高尚なビジョンや過去の苦労話を語ったりする人を見ると「カッコいいなぁ。羨ましいなぁ。」と思うかもしれませんが、誰かのマネをする必要もありません。

ほとんどの起業家は、独立当初に「夢」や「ビジョン」は無くても支障はないと思います。
それに、そもそも誰かからそれを聞かれて答える義務はありません。

また、「夢を持たなければならない。」という義務も無いし、それでも成功している人はたくさんいると思います。

言葉に出来ないパッションが1番パワーがあるのです。
最初から上手く説明出来る気持ちなんて、たかが知れています。

「なんかわからないけど、憧れる。」
「何がやりたいのかわからないけど、このままじゃ終わらない。」
という気持ちは、「何をするか?」よりも100倍重要です。

スタートは、理屈ではなくエネルギーです。
自分が「やりたい!」とワクワクするものはなんでも「夢」と言って良いと思います。

豪邸に住みたい。
高級車が欲しい。
旅行に行きたい。
異性にモテたい。

「現状維持」という夢でも最初は大丈夫です。
他人が聞いて素晴らしい必要はありません。

本田宗一郎さんや、松下幸之助さんなど、成功者はみんな苦労を乗り越えて来たように思うかもしれませんが、実は人が成功に向かっている時というのは、ワクワクしていて苦労など無いのです。

成功者の苦労話というのを聞いた事があると思いますが、例えば
「夜中の2時まで働いていたよ。」
という話は、事実、こういう事なのです。

「好きな事、やりたい事を仕事にしたから、いつまでやっていたい。」
「これでまた自分の夢に一歩近づくのかと思ったら嬉しくて夢中になっちゃって。」

それでふと時計を見たら夜中の2時だった。

そういうエピソードを聞いて人は、「大きな事を成し遂げるための苦労話」だと転化された形で伝わっただけなのですね。

苦労しながら成功する人なんていないのです。

だから、夢を成し遂げるのは難しいとか、苦労の先に成功がある、というのは大きな勘違いなのだと私は思います。

成功というのは、楽しみながら喜びながら好きな事、やりたい事に没頭していた結果なのではないでしょうか。

「夢を実現するのは、ハードルの高い大きなチャレンジだ!」

という勘違いをしている人はたくさんいるのでは無いかと思います。

大切なのは、目標に到達するための細かな階段を少しずつ登って行く事なのですから、夢やビジョンなどいらないのです。

誰かに助けを求めても構いません。

昨日の自分と少しだけ違う、何か新しい事をしてみて下さい。
きっと自分の方向性に気づくきっかけになるはずですから。