心理カウンセラーの風湖です。

無事に引っ越しも終わり、今朝は積み上げられた段ボールを横目で眺めながら、バタバタとした昨日の疲労感を癒してくれるコーヒーの良い匂いを嗅いでリラックス効果を感じ、自分の好きな音楽を聴きながらソファーでのんびりとしています。

今回は、引っ越しが決まってからあまり時間も無く、予算も限られていて、多少無理だと思われる様々な条件を突き付けたにもかかわらず、それに見合うような素晴らしい部屋が見つかり、とても満足しています。

それにはやはり、今回の部屋探しの間に訪れた良い人との「出会い」があったからなのではないかと心から思います。

例えばあなたがお客様として何か物を買う場合、一体どんな相手から買いたいと思いますか?

親切な人、知識がある人、笑顔の人、説明の上手な人、それとも値引きをしてくれる人でしょうか。

ある日、あなたは洋服を買おうとショッピングセンターへ出かけます。
そこに現れた販売員は、満遍の笑顔であなたの興味を引こうと見え見えのお世辞と従順な態度で接して来ます。

「これなんか、お似合いですよ。」
「お客様はスタイルが良いから何を着てもカッコよく決まりますね。」
「これは超お買い得ですよ。」
「これなんて、流行っていて、すぐに売れてしまいますよ。」

あなたならどうしますか?

確かに、どれも似合っているような気がするし、お買い得と言われると、値段も確かに安そうです。

しかし、なぜか最後の決断がなかなか出来ずに少し迷って「また来ます。」とごまかして、もう二度と行く事は無いのではないでしょうか。

なぜ、最後の最後で買う事に踏み切れなかったのか。

それは、どんなにその商品が気に入っていたとしても、その販売員を「信じきれなかった」からです。

本当の事を言っているのかウソなのかを判断出来なかったからなのですね。

今回、私は新しく住むための部屋を探しに不動産会社をいくつか尋ねましたが、自分の部屋を探す目的だけではなかなか決まらなかったような気がします。

最終的に決め手になったのは、なんと言っても部屋を紹介してくださった方の言葉を信じられたからだと思うのです。

「このマンションは、家族で住んでいらっしゃる方が多いので、子供さんがたくさんいます。子供さんが好きならば良いとは思いますが。」
「このマンションの管理人さんは結構細かい人ですから、多少窮屈かも知れませんね。」
「来週には引っ越しシーズンがひと段落しますから、引っ越し費用も抑えられます。」

そんな会話を繰り広げているうちに、
「この人は正直な人だ。ウソを言わない人だ。」と、感じて、
「あなたが言うなら間違い無い。」
と、その人を信用出来たから、多少の予算オーバーでも満足の部屋探しが出来たのではないかと思います。

逆に、あなたが販売しての立場ならば、
「高くても良いからあなたから買いたい。」
と、評価してもらえたら嬉しいですよね。

これは、売り買いをする間柄だけではなく、全ての人間関係においても当てはまる法則なのではないでしょうか。

何故か好かれる人、仕事を任される人、上手くいく人は、相手に受け入れてもらうために媚びたりせず、自然体です。

相手の事を大切に思うのであれば、多少厳しい意見だとしても嫌われる事を恐れずに、その人の為を思って正直に思っている事を伝える事が出来れば、その信頼関係はずっと長く続くはずですよね。

私が子供の頃、いつも家の裏口から入って来ては注文を受けて商品を届けてくれる酒屋さんがいました。
同じ物を買うのなら、より信用出来る人から買いたいと思うのは、ずっと昔から変わらない人の心理なのですね。

何故か成功する人は、自然体で正直な人なのだと思います。
相手と親しくなるために、無意識に「操ろう」「なんとか決めてもらおう。」とする習慣から解放されているのですね。

フランスの著述家、ラ・ロフシュコーと言う人の言葉です。

「ありのままの自分を見せる方が、
ありもしないものに
自分を見せかけようとするよりも、
本当は得になるはずなのだ。」

見栄やプライドばかりが頭の中を支配してしまい、自分を大きく見せようとするクセがある人は、等身大の自分で相手にぶつかってみた方が好感を持ってもらえる場合が多いのですね。