心理カウンセラーの風湖です。

今、外出自粛をしている方は、何をしていれば良いのか分からずになんとなく時間だけが過ぎて行って、1日がとても長く感じますね。そして様々な事を考える時間がありますね。

テレビを見ていてもネガティブな話題ばかりで本当に辛いですから見なくなりますし、本を読んだり携帯電話を見たりして過ごしていてもあまり集中出来ず、ふと自分自身の未来に対して不安に襲われてしまいがちなのではないでしょうか。

自分はこれからどうなってしまうのだろう。
自分はなんて無力なのだろう。
今まで自分は何を目標にして来たのだろう。

私達のキャリアや人生において心の奥に潜む要求に応じていない目標設定をして生きて来た人は、今、自分と向き合う時間があるばかりに余計に満たされず、不幸だと感じるのではないかと思うのです。

自分の生き方が自ら選択したものであっても、自分の選択に影響力のある他人によって設定されたものであってもそれは同じです。

これは、私のクライアントさんの話です。

彼の両親は弁護士で、小さな頃から彼にも弁護士になる事を期待されていました。

学生時代に彼は美術の並外れた才能を発揮していたそうなのですが、家族に1度もその才能を褒められた事はありませんでしたし、もちろん美術の道を勧められた事も無かったそうです。

成績も優秀だった彼は大学を卒業し、司法試験にも合格して、法律事務所で働き始めましたが、仕事に対しても人生に対しても不満ばかりで満たされなくなって行ってしまいました。

そのうち、体重が増え、血圧が上がり、胃潰瘍になり、ストレスを抱えたまま仕事を続けた挙句にうつになってしまいました。

そして、クリニックに来てくださいました。

仕事が出来なくなった彼は、回復の治療を続ける途中で大好きな絵を描き始め、子供向けの絵画教室を始めたそうです。

現在は、弁護士の頃の様なお金は稼いではいませんが、完全な別人になって行きました。

もともと明るくポジティブな人柄だったのです。
彼は言っていました。
「生まれてはじめて幸せを感じています。健康を取り戻しましたし、自分自身に満足しています。」

今では、彼は元気に自分の心からの願望と才能に見合った新しい人生を築いているようです。

人が幸せと感じる瞬間とは、目標を設定し、その目標に真摯に取り組んで、自分に与えられた才能の全てを駆使しながらその目標を成し遂げる事が出来ていると実感する時なのではないでしょうか。

孔子は論語でこう言いました。
「30にして立つ。40にして迷わず。50にして天命を知る。」

自分と向き合う時間が多いこの時に、自分の人生を振り返って見て、本当に自分は幸せなのか、本当に自分の周りに感謝出来るのか、人生を大切に暖かく感じるのかを考えてみてください。

そして、やがて来る少し先の目標をもう一度設定してみましょう。

ネガティブな話題ばかりに目を向けるのではなく、今は素晴らしく良い時間が与えられたのですから、大切に過ごしましょうね。