心理カウンセラーの風湖です。

昨日のセミナーでは、トラウマからの解放をテーマに話をさせていただきました。
トラウマとは、一般的には傷の事なのですが、心理学では、心的外傷の事を指します。

そして、私が担当する心理学のひとつ、NLPはまさにそのトラウマ、いわゆるPTSD(心的外傷ストレス障害)の方のために生まれた心理学でもあります。

PTSDとは、過去に起きた辛い経験において受けた強い衝撃により繰り返し思い出される心の痛み、あるいは長い間苦しみ続けたひとつの過去の記憶によって自分自身の行動まで止めてしまうような信念に変わってしまう事を言います。

アドラー心理学では、過去の経験は何の問題も無いと言っています。それよりも、未来の為に今を生きようとする言葉が多いのですが、やはり、人の悩みの要因のひとつにトラウマがあるのも事実ですよね。

脳の働きの観点から言うと、人が何かしらの過去の辛い経験から解放され、心が楽になるまでの時間は10年とされているのだそうです。
それからは緩やかに気持ちが楽になって来るのだと言います。

しかし、あの東日本大震災が起きてからもうすぐ13年になるそうですが、そんなに時間が過ぎたとしても人が経験した本当に大きな過去の衝撃に、今も苦しめられている方も多いのではないでしょうか。

そして、昨日のセミナーでは事実、愛する家族を事故により亡くしてしまい、11年経った今でもその記憶に常に苦しめられていると言われる若い女性がいらっしゃいました。

とても長い間苦しみ続けて、その女性の身体は小刻みに震え、その表情や声にはとても暗い影が指していました。

私が、その様な方の心を癒す心理的な治療としてカウンセリングの手法としてよく行うのは、「もう一度同じ体験をしていただく。」と言うものです。

残酷なようですが、前回もブログで書かせていただいたようにストレスやトラウマから解放されるひとつの方法に、「慣れる」という事をしていただくのが1番良いのではないかと思うのです。

私は、その女性を誘導し、その辛かった過去に意識を移動していただき、もう一度同じ体験をイメージしていただきました。

今から11年前、まだ10代のその女性がずっと待ち続けていたその体験にもう一度向き合っていただき、体験していただき、成長した自分から当時の自分に優しい声を掛けていただくのです。

詳しいプロセスは省略しますが、その誘導を一通り終えたその女性は、とても明るい笑顔を見せて下さいました。

先程までの辛そうな表情とは全く違い、青ざめた顔色から一変して、頬がピンク色に変わり、それまでの苦しみからパッと解放された様な素晴らしい笑顔を私に見せて下さいました。

その効果は人それぞれです。
ですが、その女性の驚いた様な顔を見て、私が心理学を教えている意味はこういう事なのだと確信出来て、私もとても嬉しくなりました。

その女性ばかりでなく、その会場に来ていただいた皆さんから「感動しました。」と、次々と嬉しい感想をいただき、私がここにいる理由がわかった様な気がして、震えました。

その1時間半のセミナーで、私の目標も決まり、私自身もとても幸せをいただきました。ありがとうございました。

感謝です。