心理カウンセラーの風湖です。

東京オリンピックを半年後に控え、各スポーツの日本代表選手の選出が、続々と発表されていますね。

代表に選ばれたアスリートのみなさん、及びその関係者のみなさんは、その大会までの限られた時間の中で、これからの日々の過ごし方が本当の真剣勝負なのではないかと思います。

さて、そんな世界最高峰で戦う選手のみなさんはもちろん素晴らしいのですが、その選手を支えて来られた監督やコーチのみなさんも、自身の経験を踏まえたり様々な勉強をして来られて、選手に最適な環境を整え、様々な指導方法を試して来られたのではないかと思います。

ところで、その指導方法にまつわる言葉で、「アメとムチ」という言葉がありますね。

現代ではあまり使われなくなって来たのかなと思いきや、先日、面白いスポーツの大会の取り組み方が話題になっていました。

ある学生のバレーボール部の練習試合が行われた際に、そのルールのひとつに、監督やコーチが選手に向かって一回でも怒ったり怒鳴ったりしたらその指導者を会場から退場させるといった内容の取り組みなのです。

その結果、指導者のみなさんはそのルールを知っていたにもかかわらず、約8割の指導者が会場から姿を消してしまったのだそうです。

いまだに学校や家庭などの教育現場では、威圧的な態度で相手を罵倒する指導方法を遂行する事を常識的に行っている現場が多数を占めるのだという現実があらわになったようですね。

もちろん、良いプレーをした選手に対しては褒め言葉は欠かさないのでしょうが、果たしてその「アメとムチ」にはどのくらいの効果があるものなのでしょうか。

ある、マウスを使った実験でこのようなものがあります。

ある迷路を用意して、行き止まりの手間をスタート地点とし、左右どちらかに行けば正しい道に行けると教える実験です。そしてその一匹のマウスに正しい道を覚えさせるという実験です。
その方法は以下の3パターンです。

① 正しい道に向かう方に餌を用意し、間違った道に向かう方に電気ショックを仕掛ける方法。
② 正しい道に向かう方に餌を用意し、間違った道に向かう方には何も仕掛けない方法。
③ 正しい道に向かう方に何も用意せず、間違った道に向かう方に電気ショックのみを仕掛ける方法。

最も早く正しい道を覚えた方法は、②の、餌のみを用意した方法なのだそうです。
その他の、電気ショックを仕掛ける方法は、正しい道を覚えるどころか、スタート地点から全く動かなくなってしまったそうです。

という事は、私達が誰かに何かを教える場合でも、いわゆる「ムチ」と呼ばれる厳しい指導方法では、その相手のやる気を奪ってしまうどころか、そこに向かう行動まで止めてしまうという事がわかります。

コーチングと呼ばれる心理学では、正しい指導者は、相手を尊敬し、感謝し、その人の前に立つのでは無く、横に並ぶかあるいは後ろから支える心を忘れないようにします。

指導される側の自己肯定感を出来るだけ伸ばして、ネガティブな心の要素を中和してあげる事が大切なのですね。

これからの指導者は、その心構えとして、励まし、褒めて、感謝して、応援して、優しく支える、そして思い切り愛すること。

指導者と呼ばれるみなさんは、ぜひ実践して欲しいと思います。

私も、心に常に感謝しながら指導して行きたいと思います。