心理カウンセラーの風湖です。

「心理学の先生なの?じゃあ、今僕が考えている事、分かる?当ててみてよ。」

こういう質問は、よくされます。

心理学を勉強していると、相手の行動に対する自分の気持ちの切り替え方は理解できますが、だからと言って、相手の考えている事を正確に読める訳ではありません。

少し、誤解がある様ですね。

しかし、私は答えます。
「そうだね。自分の部屋をそろそろ片付けなくてはいけないと思っているんじゃない?」

すると、若い学生さんは驚いて、叫びます。
「えー!さすが先生ですね!どうして僕の部屋が汚れているのが分かるんですか?」(^^)

別に私は、その若い学生さんの部屋が汚れているかどうかなんて見えている訳ではありませんし、失礼だと思いながらもノリで言った言葉がたまたま当たってしまっただけなのですが、彼の顔を見て、その顎から伸びた数本の髭と後頭部の寝癖がそのように想像させてしまったのですね。

自分の周りの環境が、その人の心や言動にまで影響を与えるという事は、どうやら本当のようです。

ブロークンウィンドウ効果という心理学の理論があります。
ガラスの割れた家や車の周りには、不法投棄のゴミや犯罪などが横行するという心理を解明した概念なのです。

例えばニューヨークの地下鉄のホームは以前、落書きだらけで照明は暗く、怖いくらいの雰囲気でしたから、自然に麻薬の密売や暴力事件などの発生が相次いだらしいのです。

そこで、その落書きを綺麗に落とし、そこら辺に散らばり放題だったゴミをスッキリと掃除したら、以前のような犯罪はほとんど起こらなくなったという事なのです。

同じ様な現象が日本でもあります。

いわゆるゴミ屋敷と言われる住宅に住んでいる方は、その言動は暴力的で、近所の住民の皆さんにも威圧的な態度を取られている場合が多いのですが、その家を綺麗に掃除した途端、その態度も言動も大人しく優しくなったりします。

高層マンションなどで何かしらの事件が発生した場合、外から見てそのベランダが1番汚れている部屋の住民が犯人であったという話は良く聞きます。

その心理の1番の原因だと思われるのが、自分の部屋なのに自分で掃除も出来ない現実に対して無意識に劣等感を感じ、どんどん自信を失って行くからだと言われています。

自分の周りの汚れは、自然に自己否定感を呼んでしまうのですね。

ちなみに、最近読んだ雑誌の記事によれば、あるアンケートの結果、「嫌いな男性のタイプ」の、約半数の票を集めてダントツの第一位になったのは「不潔感を感じさせる男性」なのだそうですよ。

だからと言って、毎日掃除しましょうとは言いませんが、お天気が良くて時間があるのならば、少しずつ自分の部屋の埃を拭いてみてはいかがでしょうか。
身体も動かすから不安も消えて、気分も良くなり、きっと良い事が起こる様な気分になってきますよ。

もうすぐ春です。
気持ちを晴れ晴れさせて美しい部屋で暖かな空気を吸って行きましょう!