心理カウンセラーの風湖です。

かつて日本でも大ヒットしたアメリカ映画の「バック・トゥー・ザ・ヒューチャー」の主演でも知られているマイケル・J・フォックスさんは、20代でパーキンソン病と診断されました。

パーキンソン病の原因は不明とされておりますが、実は脳の病気で、大脳皮質の中脳の黒質と呼ばれる部分からドーパミンという物質が減少して現れる病気なのだそうです。症状としては手の震えや、運動機能の低下など、身体が思うように動かなくなるのだそう。

脳の病気だからと言って、年齢にもよりますが、記憶力が低下するとか、認知機能に異常をきたすとかのいわゆる認知症などの症状が現れる訳では無く、意識も記憶もハッキリしています。

一度発症してしまうとなかなか治らないとされている、いわゆる難病なのですが、マイケル・J・フォックスさんは、前向きにリハビリを続け、病気をテーマにした映画で再び俳優として復帰していらっしゃいます。

その際のインタビューで、彼はこう言っていました。
「自分の身体が面白くて笑いが止まらないんだ。例えば、朝、コーヒーを入れてテーブルに運ぶとき、キッチンを横切るだけでカップからコーヒーがなくなっているんだ。そして僕は妻に言うんだよ。『さあ、これが君のコーヒーだよ。』って。」
そして、夫婦で笑うのだそうです。

そんな風に自身の病気に対して前向きに、そして楽天的に捉えて笑うマイケルさんなのですが、若い頃は決して楽天的な考え方をしていた訳では無かったそうなのです。

彼がまだ10代だった頃、夢であった俳優としてデビューする事になったある日、両親にその事を打ち明けたら、父親から大反対をされたのだそうです。
「俳優なんて、失敗するに決まっている。そんな職業に就くなんて、私は許さない。」

そして彼は毎日毎日悩んで過ごす様になったそうです。将来が不安で絶望感に襲われ、やはり俳優を目指すのは辞めようと考える日々が続いたと言います。

そんな彼を救ったのは、何事も前向きに楽天的に考える、彼の叔母さんが言ったセリフだったそうです。
「何を言っているの?マイケルはきっと成功するわ。だって、この子は才能に満ち溢れているのだから。」
そしてその叔母さんは、マイケルさんの父親を説得してくれて、彼は俳優としてデビューを果たしたのだそうです。

物事を楽天的に捉えるか、否定的に捉えるのかは、実は遺伝子も多く影響しているのだそうです。
つまり、親が否定的な考え方ならばその子供も否定的な思考で育つと言われています。

しかしその子供も、出会いや経験と言った、生きていく中で巡り合う周りの環境によっては否定的な思考から楽天的な思考に変わる事も良くあるのだそうです。

特に日本人は、世界一不安を感じる事の多い民族と言われていますから、否定的な考え方の方はたくさんいらっしゃると思いますが、その原因は、日本人の特徴である「正確さ。」や、「得」にこだわる点にあるような気がします。

この世に、必ず失敗しない確実な物など存在しないと私は考えますが、例えば何かを決める時、誰かに、
「皆さんやってますよ。」
「こちらの方が正確ですよ。」
「そちらよりこれの方が良いですよ。」
などと言われると、自分の気持ちと反していたとしてもそちらを選んだ方が後悔しないような気がしていませんか?

大切なのは、「それを選んだら自分は幸せなのだろうか。楽しいのか。笑顔になるのか。」と、言う事なのではないのかと私は思います。
誰かの意見ではなく、自分の気持ちを基準にして物事を決める癖をつけていけば、後悔どころかその選択をした自分に向き合う事が出来るし、選んだプロセスを楽しむことが出来ます。
ですから、自分の捉え方を自分で変えていけば、失敗などありませんよね。

マイケル・J・フォックスさんが私達に教えてくださっているメッセージは、例え病気になっても、その現実に対して、
「どう向き合うか。」そして、「どのように楽天的に考え、ユーモアに変えていくか。」
という事なのではないかと思います。

つまり、ネガティブな現実にネガティブな理由を付けるのではなく、そういう自分をどう楽しむのか。
そして、例え治らない病気になってしまったとしても、何でも楽天的に考える事が出来れば、全て良かった事になる、さらにラッキーを呼ぶ事も出来るという事なのではないかと思います。

前向きになれば必ず応援してくれる人も現れます。
1人ではないんだという安心感も自然に得られるようになりますし、さらに自信が湧いてきます。

私達も、素晴らしい未来を楽天的に捉える癖をつけて行きたいと思います。