心理カウンセラーの風湖です。

少し前に、元メジャーリーガーのイチロー選手がたくさんの観客や世界中のファンの皆さんに惜しまれながら、引退されました。
その引退会見の時、彼が目を真っ直ぐ前を見つめて集まった記者の方々に向かって言われました。

「後悔などあろうはずがありません。」

その言葉を聞いたとき、誰もが感動し、そしてこう思った方もいらっしゃったのではないでしょうか。

「彼は、1つの旅を終えたのだ。」と。

私が日々セミナーや講座を通してお伝えさせていただいている、NLPという心理学では、
「ヒーローズジャーニー(英雄の旅)」
という、生き方や目標達成のためのプロセスを学んでいきます。

それは、アメリカの神話学者ジョゼフ・キャンベルが提唱した、「人が成功を成し遂げる為のプロセスは、世界中の歴史や文化に囚われずに共通した一連の流れがある」とした理論から、心理学でも取り上げられている考え方なのです。

私達は、毎日を生きていく中で、ふと考えることがあります。
「このままで良いのか?」
「何か自分を変えたい。」
「マニュアル通りの人生から抜け出したい。」
そう考えて心理学を学びに来てくださる方は、老若男女に関わらず非常に多いです。

そのような考えに至った方は、もしかしたら英雄の旅の始まり、スタート地点に立っているのかもしれません。

人が何かを変えたい、チャレンジしたいと思う時にまず考える事は、
「失敗したら怖い。」
「失敗したら、周囲の人に笑われる。」
「それならば、今のままでいい。」
という、自分を守る為の言い訳なのではないでしょうか。

ヒーローズジャーニーは、まず主人公である平凡な人間が何かの事故や考え方を変えるきっかけとなる経験をし、そこから動き出す事がまず大切だと考えます。

自分を変えるには、始める勇気も大切ですが、その反面、何かを辞める勇気も大切なのです。

3年後、あるいは5年後にやりたくない事をやっている自分と、やりたい事をやっている自分を照らし合わせて想像し、先ずは行動する必要があるのですね。

しかし、それに伴ってやはりなにかしらの試練はやって来ます。
敵も現れるかも知れません。人生は楽しい事ばかりではありませんからね。

そこで必要なのは、質の良い学びや経験、出会いや師と仰ぐ存在の大切さなのです。

それらの意味を悟り、メッセージを蓄えてやがてヒーローとなり故郷へ戻るのです。それは、旅をする前と全く異なる成長したあなたとなって1つの旅を終えるのです。

ヒーローズジャーニーの具体的な情報やスキルは、ぜひ心理学の講座で学んでいただきたいと思います。

そして私ごときがこんな風に言わせていただくのもおこがましいのですが、イチロー選手の記者会見を見て感動した事は、何かを成し遂げた人間の、
「成功し、ヒーローとなって故郷に戻って来た人間にしか見られない世界観と言葉の重要さ。」
それは、彼の目の輝きと表情の美しさからも伝わって来ました。

昔読んだ、彼について書かれていた新聞記事によるとイチロー選手は、もともとは決してポジティブな思考の人間では無かったと言います。少年野球時代、彼は試合に負けると、
「僕のせいで負けてしまった。」と、よく泣いていたそうなのです。

そんなある日、そんな彼の元に巡業中であった当時横綱力士だった曙がたまたま通りかかって、泣いていたイチロー選手に話しかけたのだそうです。

「君も頑張って毎日練習すれば、きっと素晴らしい強い選手になれるよ。」

それから彼は勇気をもらい、くる日もくる日も練習を欠かさず、チャレンジを重ね、数々の決断をし、今に至ると書いてありました。

そんなイチロー選手だからこそ、見ているだけで人々は感動をいただき、野球を続ける少年達に勇気も与え、彼を見習ってヒーローズジャーニーに歩き出そうとしている私達に決断をさせてくれるのだと思います。

今年、大学を卒業する私の長男にも、そのような旅を経験して欲しいと思っています。
親には思いもやらない未来が、次の世代にやって来る事を期待して。

私もまだまだ負けてはいられませんね。