心理カウンセラーの風湖です。

私には2人の大学生の子供がいるのですが、その子達が小学生の頃に通っていた算数塾の先生が素晴らしい方でした。

いわゆる幼児教室や進学塾のような、教材に沿って勉強するような塾ではなく、1人の60代(当時)の男性の先生が1人で幼稚園児から高校生までの子供達に算数、数学を教えてくれていました。

その先生のモットーは、「笑えば人は伸びる。」

教材は一切ありません。子供一人一人に合わせたプリントを先生が手書きで制作し、集まって来た子供達にやらせます。出来たら丸をもらいに先生に提出しに行くのですが、小学校2年生までの子供には合っていても間違っていても大きな丸を与えます。

そして、その子に大きな声で、
「良く出来たね。君は素晴らしいね。」
と言いながら頭を撫でてくれます。

すると子供達は、いくら消極的な子供でも目をキラキラ輝かせて、全身で喜びを爆発させるように飛び跳ね、
「もっとやりたい!もっとやりたい!」
と、先生の机に手をつき、体を前のめりにしながら要求します。

「え!もっとやりたいの?
君の年だと、みんなこれくらいで飽きてしまってやりたくなくなるんだよ。ちょっとこれ以上は無理なんじゃない?」
と、先生がわざと大げさな言い方でやめさせようとすると、
「出来る!出来る!」
そう言って子供達は次から次へと新しいプリントを要求します。

「出来るかなぁ?でも、君は頭が良いからもしかしてひとつ上の子達の問題でも出来るかも知れないねえ。きっと出来るね、君は素晴らしいから。」

そう言われると、子供達は嬉しそうに踊りながらプリントに取り組み、笑いながら集中します。そうすればどんどん大きく成長していくのです。

その先生は、送り迎えの保護者も引き止めて、
「どうぞ中に入って見ていてあげてください。子供達も喜びますから。」
と言い、その子供の姿を親に見せようとします。
しかし、その先生の目的は、子供の勉強する姿勢を見せる事だけではなく、保護者までも褒めて笑わせる事なのです。

「〇〇君のお母さんは頭が良いね。先生には分かるよ。お母さんが頭が良いから君も素晴らしいんだね。」

すると、子供達は嬉しそうにお母さんを見つめ、お母さんも恥ずかしそうに笑います。
「うん。僕のお母さんはいつもお仕事頑張っているんだよ。」
子供がそう言うと、先生は、大げさにビックリして、
「え?そうなのか?君は凄いね。お母さんが素晴らしいのを知っていたのかい?天才じゃないのかしら。」

そんな先生だから、子供は塾が好きになる。
そして、勉強を好きになる。
先生は、教材だけでなく小さい子供が授業前や後に遊ぶオモチャなども自分のアイディアで作り、遊ばせたりしていました。そして、自由な発想や発見をして遊ぶ子供を思い切り褒めていました。

人の脳は、褒められるとドーパミンが噴出し、笑顔になりやる気が漲ります。大人になってもその感覚は持続して自然に笑顔になり、幸せホルモンであるセロトミンや、ノルアドレナリンが活性化して、集中力や想像力までも引き出すそうです。
出来ないと思った事でも出来るのでは無いかとチャレンジしてみたくなったり、物事をポジティブに考える様になると言われています。

ある心理学チームの調査では、お金を貰うよりも褒められる方が人は嬉しい、幸せだと感じるそうなのです。

ひとの体を作るのはビタミンなどの栄養素ですが、人の心を作るのは言葉なのです。
言葉は、武器にもなりますし、薬にもなります。
人の成長は、褒められたり癒される言葉によってさらに加速されるのでないでしょうか。

実は、私の心理学の授業には、この先生のスタイルを参考にさせていただいています。
実際、私の授業中は笑いが絶えないですし、1日7時間にも及ぶ授業時間ですが、生徒さんは、
「1日早かったです。あっという間に終わってしまいました。」
と、言って下さいます。

そして、生徒の皆さんは自分に自信を持ち、成長を感じ、新しいステージへと羽ばたいて行きます。

笑って伸びて成長していただく。
確実にリスペクトさせていただいています。
幼児教育評論家、林ひろし先生、ありがとうございます。

どんな状況でも、そこに少しでも笑いがあれば光が差します。笑い飛ばすきっかけ作りになれば良いなと思いながら、私もネタ作りに余念がありません。

今年も笑って過ごしましょう。
皆さん、楽しみましょうね。