心理カウンセラーの風湖です。

私は、心理士としてメンタル面でのカウンセリングもさせていただいているのですが、子育て中のママさん達の相談の中には、
「上の子は好きなのですが、下の子はどうも好きになれないのです。こんな事考えるなんて、私は母親失格なのでしょうか。」
という悩みを打ち明けて下さる方が多数いらっしゃいます。

子供が少ない現代の母親の中には、その真面目で優しい性格ゆえに、「母親はこうあるべき。」と考え、理想的な母親像を追い求めるうちに、思い通りにならない現実とのギャップに迷い、悩みます。

母親なのだから、自分の子供達に平等に優しく接してあげるのが当たり前だとする少し歪曲した価値観が、母親を苦しめているのかもしれません。

少し前に読んだ本の中に、驚くような話が書かれてありました。現代社会において、日本の子育てに関する価値観を真っ向から覆す内容の本なのですが、
「女性は、母性なんて元々無かった。」
というものです。

その本によると、今から1000年ほど前は、日本の子供は家の仕事の手伝いをする労働力でしかなく、病気になっても満足な医療を受けさせる費用も時間もありませんでしたから、親は子供を捨てても許された時代があったというのです。

子供が生まれたら大事に育てようという考え方になって行ったのは江戸時代に入ってから。
さらに、「子供を教育して育てよう。」
という価値観に変わって行ったのは、大正時代になってからなのだそうです。

だからと言って、子供を大切に育てなくても良いというわけではありません。

間違いなく子供達は、未来の日本、あるいは世界を担う宝物なのですから、もっとおおらかに、価値観や信念を押し付けるのでは無く、時代のニーズに合った育て方をして行った方が良いのではないかと私は思います。

その本には、日本人の7割以上が信じている、「3歳児神話」はウソである。とも書かれていました。
「3歳児神話」とは、子供は3歳になるまでは母親が育てなければ健全な精神が育たないというものです。

欧米では、ベビーシッターは当たり前です。母親は、子供を産んでもすぐに預けて働きます。ですから、子供が多少イタズラをしても、公共の場で騒いでも、世間は親のせいだとは思いません。
しかし、日本人の多くがそういう子供を見ると「親のしつけが悪い。」とか、「母親は何をしているんだ。」と思われてしまうのではないかという世間体がまず母親の頭をよぎってしまいます。。

つまり、子供達をしつけるのは社会ではなく、家庭内である、という考え方がより母親のストレスになっているのですね。
私の心理学講座の生徒さんの中に、児童相談室でお仕事をされている方がいらっしゃるのですが、その方が教えて下さいました。
「母親が自分の子供に対して虐待をしてしまう多くが、専業主婦の方たちです。」と。

日本の保育園の待機児童は、100万人から300人とも言われていて、一向に少なくなりませんが、それに伴い増えているのが、産後うつです。
産後うつは、母親のみがなると思いがちですが、実はその半数が父親もなるという事がわかってきました。

親が、子供を好きになれないという現実は、もはや少数派では無くなって来ているようです。

そして、冒頭に書いた「上の子よりも下の子の方が嫌い。」という相談も、実は、母親ならではの優しさから来る目線での感情なのではないかと思います。

母親は、真剣に真っ直ぐ子供を見つめるあまり、自分と似たような部分を見つけると、嫌悪感を感じてしまいます。つまり、「嫌い。」という感情は、そのまま「自分と似ている。」と、感じるからこそなのですね。

しかし、人間の性格というのは、遺伝的、つまり先天的なものも半分は影響しているのですが、後の半分は、育ってきた環境から作られるとされているそうです。
ですから、母親が「自分と似ている。」と、感じているという事は、その子が生まれた時から母親が大好きでとても良く見ていて、母親の真似をしているうちに、似て来てしまったという事ではないでしょうか。

母親は、自分を見ているようで辛いという感情を認めたくないばかりに「嫌い。」と思いこむ事で自分の中に納めてしまいがちですが、実は、その子供がいらっしゃるからこそ、自分の子育てが間違いでは無かったという証なのではないでしょうか。

何故なら、その子が母親を大好きだという事は、母親を求めていると言う証拠だからです。母親を必要としているからこそ、自然に母親の仕草や言葉を真似をして安心しているのかもしれません。

母は、子供達の太陽です。明るく照らしてあげているからこそ、子供の影の部分が伸びて長く見えてしまって心配が増えますが、光があるから影が出来て、しかもそれは照らしてあげている母親のみに見せる子供達の弱さなのだという事に気づいてあげてくださいね。

貴方の子供達は、才能に満ち溢れていますよ。
育てたように子供は育つものなのですから。

子供達の笑顔に感情して、私もまだまだ頑張ります!