ヤマト運輸の2代目社長である小倉昌男氏。その経営論が詳細に描かれている本。
今まで読んできた本の中でもダントツに感銘を受けた本になった。この本を通して小倉昌男氏がどのような人物であるのかが伝わってくるような内容だった。
良かった点は下記3点。
1.解り易いワードと伝える能力の高さが経営には不可欠
2.顧客思考で生み出した価値は最後に大きな利益をもたらす
3.論理的に経営のシステムを構築し、愚直に進む起業家精神
1.解り易いワードと伝える能力の高さが経営には不可欠
経営者として様々な分野からすごく勉強されたことが書かれてあったし、読んでいても伝わってきた。全てのことに意味があり、考え抜かれていて、論理的に考えられた背景がある。
もっと驚いたのがそれを組織全体に伝える能力の高さ。
常に解り易い言葉で比喩されている。また比較対象を置き、優先順位が明確である。
『正しいコミュニケーションとは内容が具体的で曖昧でないものでなければいけない。簡潔で方向がはっきり示されていることが必要である。』
「サービスが先、利益は後」
「車が先、荷物は後」
「社員が先、荷物は後」
「安全第一、営業第二」
「サービスとコストはトレードオフ」
「セールスドライバーは寿司屋の職人であって欲しい」
「セールスドライバーはサッカーでいうフォワードである(花形で重要だから正社員採用)」
「企業は金太郎飴。どこを切っても同じ顔である為には複雑な顔では無理である」
伝わりやすく、明確な内容。また常に比較対象を置くことで重み付けが解り易い。
2.顧客思考で生み出した価値は最後に大きな利益をもたらす
戦略的に最大のキーポイントは宅急便事業の開始。運輸業界の常識にとらわれず、顧客思考を重視しビジネスモデルを構築した。
特徴的なのは「サービスが先、利益は後」。
その為に「車が先、荷物は後」「社員が先、荷物は後」「安全第一、営業第二」と顧客満足度をあげる為にサービスを充実されていった。それを支える財務戦略も大事であるが、利益は結果であると考え、その源泉は顧客が感じる価値の創造である。
結果として5年後には黒字化。その後、ダントツの業績を打ち立てる結果となった。
3.論理的に経営のシステムを構築し、愚直に進む起業家精神
『儲からないからやめてしまう、というのでは情けないではないか。それをやるのが経営者の意地ではないか。』
宅急便事業を開始する時の言葉。起業家精神の塊だ。
以下、小倉氏が考える経営リーダーの条件。
<経営リーダー10の条件>
1.論理的思考
経営とは理論の積み重ねだからである。自分の頭で考えないで他人の真似をするのが、経営者として一番危険な人なのである。理論の反対は情緒である。情緒的にものを考える人は経営者に向かない。
2.時代の風を読む
企業は社会的な存在。時代時代の社会の変化に強く影響される為、経営者は時代の風を的確に読み取らなければいけない。今はボーダレスの時代に対応する心構えが必要である。
3.戦略的思考
経営には戦術と戦略がある。戦術とは日常の営業活動において競争に勝つ為の策。戦略とは経営目標を実現する為の長期的な策。経営者は戦術レベルではなく常に戦略的発想をもって事態に対処しなければいけない。
4.攻めの経営
経営は攻めの姿勢が大事である
守りの経営ではじり貧になるのは間違いない。攻めの経営の真髄は、需要を作り出すところにある。需要はあるものではなく、作るものである。現在経営者にもっとも求められているのは起業家精神である。
5.行政に頼らぬ自立の精神
役人の一番いけないところは、結果に責任を持たないことである。人間誰しも間違いはある。経営上の判断を間違ったら、社員に素直に謝って訂正するべきである。
6.政治家に頼るな、自助努力あるのみ
政治家に頼って問題解決すると問題の本質から逃げたことになる。また政治家の力は競合も使うことができる為、競争優位性につながらない。外部に頼らず自助努力のみが必要である。
7.マスコミとの良い関係
経営者は優れた広報マインドを持つことが要求されている。事実を伝えることで、間違った風評は減り、マスコミから新たな情報を得ることもできる。また社員へのメッセージ量も増大することで愛社精神が強まる。
8.明るい性格
成功した経営者は「ねあか」な人物が多い。経営者は「ねあか」と同時に「謙虚さ」が必要である。他人の人格を尊重し、長所を見つけて認める。経営者として大事な資質である。
9.身銭を切ること
経営者はもらうべきものはもらい、部下に飲ませるときはポケットマネーで払うようにしなければ、社員から尊敬される経営者にならないことを、覚悟する必要がある。
10.高い倫理観
起業が永続するためには、人間に人格があるように、企業に優れた「社格」がなければならない。人格者に人徳があるように、会社にも「社徳」が必要なのである。
利益が出ている会社は良い会社であり、儲からない赤字の会社は良くない会社だという考え方がある。私はそうは思わない。企業の目的は、永続することだと思うのである。永続する為には、利益が出ていなければならない。つまり利益は、手段であり、また企業活動の結果である。企業は様々なサービスで住民の生活を支えている。企業は社会的な存在であるのだ。だから永続しなければいけない。その為の手法として利益が必要なのである。
今まで読んできた本の中でもダントツに感銘を受けた本になった。この本を通して小倉昌男氏がどのような人物であるのかが伝わってくるような内容だった。
良かった点は下記3点。
1.解り易いワードと伝える能力の高さが経営には不可欠
2.顧客思考で生み出した価値は最後に大きな利益をもたらす
3.論理的に経営のシステムを構築し、愚直に進む起業家精神
1.解り易いワードと伝える能力の高さが経営には不可欠
経営者として様々な分野からすごく勉強されたことが書かれてあったし、読んでいても伝わってきた。全てのことに意味があり、考え抜かれていて、論理的に考えられた背景がある。
もっと驚いたのがそれを組織全体に伝える能力の高さ。
常に解り易い言葉で比喩されている。また比較対象を置き、優先順位が明確である。
『正しいコミュニケーションとは内容が具体的で曖昧でないものでなければいけない。簡潔で方向がはっきり示されていることが必要である。』
「サービスが先、利益は後」
「車が先、荷物は後」
「社員が先、荷物は後」
「安全第一、営業第二」
「サービスとコストはトレードオフ」
「セールスドライバーは寿司屋の職人であって欲しい」
「セールスドライバーはサッカーでいうフォワードである(花形で重要だから正社員採用)」
「企業は金太郎飴。どこを切っても同じ顔である為には複雑な顔では無理である」
伝わりやすく、明確な内容。また常に比較対象を置くことで重み付けが解り易い。
2.顧客思考で生み出した価値は最後に大きな利益をもたらす
戦略的に最大のキーポイントは宅急便事業の開始。運輸業界の常識にとらわれず、顧客思考を重視しビジネスモデルを構築した。
特徴的なのは「サービスが先、利益は後」。
その為に「車が先、荷物は後」「社員が先、荷物は後」「安全第一、営業第二」と顧客満足度をあげる為にサービスを充実されていった。それを支える財務戦略も大事であるが、利益は結果であると考え、その源泉は顧客が感じる価値の創造である。
結果として5年後には黒字化。その後、ダントツの業績を打ち立てる結果となった。
3.論理的に経営のシステムを構築し、愚直に進む起業家精神
『儲からないからやめてしまう、というのでは情けないではないか。それをやるのが経営者の意地ではないか。』
宅急便事業を開始する時の言葉。起業家精神の塊だ。
以下、小倉氏が考える経営リーダーの条件。
<経営リーダー10の条件>
1.論理的思考
経営とは理論の積み重ねだからである。自分の頭で考えないで他人の真似をするのが、経営者として一番危険な人なのである。理論の反対は情緒である。情緒的にものを考える人は経営者に向かない。
2.時代の風を読む
企業は社会的な存在。時代時代の社会の変化に強く影響される為、経営者は時代の風を的確に読み取らなければいけない。今はボーダレスの時代に対応する心構えが必要である。
3.戦略的思考
経営には戦術と戦略がある。戦術とは日常の営業活動において競争に勝つ為の策。戦略とは経営目標を実現する為の長期的な策。経営者は戦術レベルではなく常に戦略的発想をもって事態に対処しなければいけない。
4.攻めの経営
経営は攻めの姿勢が大事である
守りの経営ではじり貧になるのは間違いない。攻めの経営の真髄は、需要を作り出すところにある。需要はあるものではなく、作るものである。現在経営者にもっとも求められているのは起業家精神である。
5.行政に頼らぬ自立の精神
役人の一番いけないところは、結果に責任を持たないことである。人間誰しも間違いはある。経営上の判断を間違ったら、社員に素直に謝って訂正するべきである。
6.政治家に頼るな、自助努力あるのみ
政治家に頼って問題解決すると問題の本質から逃げたことになる。また政治家の力は競合も使うことができる為、競争優位性につながらない。外部に頼らず自助努力のみが必要である。
7.マスコミとの良い関係
経営者は優れた広報マインドを持つことが要求されている。事実を伝えることで、間違った風評は減り、マスコミから新たな情報を得ることもできる。また社員へのメッセージ量も増大することで愛社精神が強まる。
8.明るい性格
成功した経営者は「ねあか」な人物が多い。経営者は「ねあか」と同時に「謙虚さ」が必要である。他人の人格を尊重し、長所を見つけて認める。経営者として大事な資質である。
9.身銭を切ること
経営者はもらうべきものはもらい、部下に飲ませるときはポケットマネーで払うようにしなければ、社員から尊敬される経営者にならないことを、覚悟する必要がある。
10.高い倫理観
起業が永続するためには、人間に人格があるように、企業に優れた「社格」がなければならない。人格者に人徳があるように、会社にも「社徳」が必要なのである。
利益が出ている会社は良い会社であり、儲からない赤字の会社は良くない会社だという考え方がある。私はそうは思わない。企業の目的は、永続することだと思うのである。永続する為には、利益が出ていなければならない。つまり利益は、手段であり、また企業活動の結果である。企業は様々なサービスで住民の生活を支えている。企業は社会的な存在であるのだ。だから永続しなければいけない。その為の手法として利益が必要なのである。