父は、戦争でシベリアに抑留されておりました。

 父の存命中のことですが、

 ある冬の寒い日に、父があまりにも寒がるので、私が、

 「シベリアにいたんだから、これぐらい我慢できるでしょ!」

 と冗談を言うと、

 「それとこれとは違う!」とびっくりするぐらい怒られました。

 

 それから何年か経ち、父が弱ってしまって、

 亡くなる数年前だったと思います。  

 何かのニュースで日本が攻めてこられたらどうするか

 という話題になった時のこと、

 父が開口一番、「お父さんは行くぞ」と言ったのです。

 えっ!、と言ったきり、

 私は口ごもって、なのも言えなかったのです。

 いやいや、その介護が必要な体で、

 第一、人一倍捕虜になって嫌な思いをしているじゃないの。

 戦争がだめなことを身をもって知っているじゃないの。

 でも「それとこれとは違う」と、また言うの。

 

 あれから亡くなった父が、

 今のウクライナの戦争をみたら、

 どう言うだろか。

 大正生まれの男の人の考え方は、

 今を生きる私たちとは、違うんだろうか。

 

 しかし、戦争が一日でも早く終わることを願うのは、

 父も私も同じ思いだと思うのです。

     

 

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