第5話 新年の 剣×薫 前編 | SYOTTAのブログⅢ

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主にショタっ子の尿系のお話をメインとしたショタっ子のお話や絵などです。



 年明けの午後・・・時刻は一時を少し過ぎたところである。剣進は退屈そうに


正月恒例のテレビのバラエティ番組を観ていた。


「父ちゃん早く帰って来ないかな・・・」


 父親の剣吾は午後から会社の新年会がある為出掛けてしまった。ちなみに


お爺ちゃんとお婆ちゃんは年末の商店街の福引で一等が当たり、年末年始を


初めて海外で過ごしている。


「剣ちゃん退屈そうね」


「退屈だよ、家にはオイラと母ちゃんしか居ないんだもん」


「でもお母さんが居るんだから、何かして遊ぼうか」


「え、何して遊ぶの?」


 剣進の目がにわかに輝き始めた。


「そうねえ、お正月だし・・・スゴロクでもしようか」


「二人で?」


「まあ、仕方ないじゃない、その代わり剣ちゃんが勝ったら今晩の夕御飯


 は剣ちゃんの好きな物にしてあげる」


「本当!じゃあ母ちゃんが勝ったら?」


「そうねぇ・・・じゃあ剣ちゃんのお年玉を・・・」


「それは駄目」


 プルルルル


 家の中に電話の音が響いた。


「はい火鳥です・・・あ、お姉ちゃん、明けましておめでとう」


 剣進の母親は、楽しそうに受話器越しの相手と話している。剣進はすぐ


に、この電話が長引くものだと直感した。剣進母とそのお姉ちゃんの電話


は、どんなに短くても三十分以上はかかる。


「スゴロクはまだまだ先だな」


 剣進はなんとなく家の外に出た。暖房がきいた室内と違って、玄関のドア


を開けた瞬間に真冬の冷たい風が吹き付けた。


「うっ、さみっ・・・・でもオイラは負けないのだ」


 元旦であっても、剣進の服装はいつもと変わらない。昔ながらの短い半ズボ


ンに青いタンクトップ・・・それは今年も同じであった。歩いていると、家族連れ


の人たちが目に付いた。神社で初詣を済ませて来たのだろう。剣進は羨ましそ


うにその光景を見ていた。




「おーい剣」


 誰かが剣進を呼んだ。


「あ、薫じゃん」


 薫が走って剣進に近づいてくる。


「明けましておめでとう」


「お前こんなところで何やって・・」


「明けましておめでとう!」


「あ、うん、明けましておめでとう・・・」


「新年なんだからちゃんと明けましておめでとうだろ!」


 剣進はややご立腹だった。


「いいじゃんか別に、それより剣、こんなところで何してんだ?」


「別に、退屈だから散歩」


「そっか、実はオレもなんだ、お父さんは編集者の人と新年会でさっき出掛けて


 行ったし、お母さんは長電話が終わらないし」


(うちと同じだ)


 剣進は心の中でそう思った。


「そう言えばお前の片思いのトムはどうしたんだ?」


 剣進は少し涙目になりながら無言で薫を睨んだ。


「・・・・アメリカに行ってる」


「あ、そうか、そう言えば終業式の後でそんなこと言ってたっけ、年末年始は


 アメリカで過ごすって」


「ちゃんと覚えてろよな、まったく」


 剣進は不機嫌になった。


「悪い悪い、それより折角だからオレたちも初詣に行こうぜ」


「えー、薫と」


「いいじゃんか、折角元旦に会ったんだし」


「まあいっか、どうせ暇だしな」


 こうして剣進と薫は一緒に初詣に行くことにした。


「なあ剣、今年はお年玉どれくらいもらえそうだ?」


「そうだなぁ・・・去年が三万円くらいだったから・・・もう少しもらえるかもな」


「そっか、オレは去年は五万円くらいだったからな」


「うわっ、なんだよ薫、そんなにもらってたのか!」


「うちって結構親戚が多いし、出版社の人とかも来たりするからな」


「いいなー」


 いつものメンバーで一番お年玉をもらえるのは大体薫となっている。その為正月から


暫くは薫の金遣いが荒くなる傾向にある。ゲームソフトや漫画本をすぐに買ってしまう。


そして必ず母親から怒られてしまうのである。


「でも初詣に二人っきりで行くのって、なんか寂しいな」


「オイラはトムと二人っきりなら全然寂しくないけど、薫じゃあ・・・」


「オレだったら悪いかよ」


「だって・・・オイラはトム好きだし・・・」


「お前オレと二人だと必ずそのセリフ言ってないか?」


「そうだっけ?」


「多分な、それにしてもトムとリッキーがアメリカで、永輝は家族で旅行だったっけ」


「トムのお土産何かな」


 剣進はそのことを考えてにやけていた。


 そんなこんなで神社に到着したが、元旦ということもあって人はかなり多い。


「やっぱり混んでるな」


「でも、オイラはおみくじとお願いをしたいから頑張るぞ」


「お前結構こういう行事好きだよな」


「だってさ、わくわくしないか、オイラ小学校に入ってからおみくじは必ず大吉なんだぞ」


「マジかよ!ってことは・・・今のところ四連続か?」


「オウ」


「へぇー、すげーな」


「だから毎年いいことがあるんだぞ」


「ちなみに去年のはなんて書いてあったんだ?」


「えっと、オイラ書いてあることが難しいから母ちゃんに教えてもらうんだけど、一年間健


 康で願い事も叶うって言ってた」


「で、叶ったのか?」


「うん、誕生日もサンタさんからのプレゼントも、オイラが一番欲しいものだったぞ」


「ふーん・・」


 雪こそ降ってはいないが、かなり冷え込んだこの日・・・お賽銭を入れて鐘を鳴らして


お願い事をする。それを行うために並んでいる列が、まだまだ続いている。


「しかし寒みーな」


「そうか?」


「お前本当に凄いよな、この寒さでタンクトップに短パンで」


「オイラは今年もこれで一年乗り切るんだ」


「今更訊くのもへんだけど、寒くないか?」


「ふん、寒くなくはない」


「なんだよ、やっぱり寒いんじゃんか」


「そりゃあ、ほんのちょっぴりは・・・でもオイラ絶対この格好だからな」


「そのことだけはすげーと思うよ」


 寒空の下でずっと我慢していた剣進と薫に、ようやく順番が回ってきた。


「なあ、オレに先にやらせてくれよ」


「何でだよ、オイラが先だ」


「いいじゃんか、別に」


「嫌だ、オイラが先だ」


「仕方ねー、じゃあ」

「今年最初の勝負だな」



『最初はグー、ジャンケンポン』



 声をそろえて掛け声をかけた。結果は剣進がグー・薫がチョキで、剣進の勝ちだった。


「っし、オイラの勝ち」


「チェッ、早くしろよ」



 ガランガランガラン・・・パンパン・・・



「どうか今年も父ちゃんとトムといっぱい遊べますように、席替えはトムと近くになりますよ


 うに、ロ○テが優勝しますように、美味しいものがたくさん食べられますように、運動会で


 リレーの選手になれますように・・・」


「まだあんのかよ!、しかも全部声出しながら」


「うん」


「もう交代だ、長すぎるぞ」


「ええっ、まだまだあるのに、だめだ、後ろもつかえてるんだからな」


 そう言って薫は剣進よりも短めのお願いを終えた。ただし、声は出さずに。


「薫は何をお願いしたんだ?」


「え、いや・・・まあ、今年一年病気になりませんように、とかな」


「年よりくさい奴だな」


「うるせーな、それにしてもお前お賽銭五百円も入れるのな」


「あたりまえだろ、色々お願いするんだから当然だ、大体薫はケチなんだよ、百円なんて


 さ、お年玉沢山もらうくせに」


「うるせー、いいんだよ」


(やっぱりオレも五百円くらいにしたほうがよかったかな、百円じゃオネショ治らないかな・・)


 そんなことを考えながら、剣進と今度はおみくじを引くことにした





                続く




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