翌日の夜、ドゴール警部は豪雨の中、パリの路上に立ち尽くしていた。
閉店後のパン屋の前、店の主人と思われる男一人と女三人が額を銃で撃ちぬかれて殺され、地面に横たわっていた。
雨が被害者たちの髪を揺らす。
ー犯人(ホシ)がなぜいつも雨の日に犯行を行うのか。それは雨で証拠を消すためだ。痕跡ー。
ピエールが息せき切って走って来た。
「どうやら閉店を待ち構えて狙った様です。目撃者の証言は黒髪の女にエア・スケーター。手口も同じで一連の同一犯と考えていいでしょう」
西6.頭の中に浮かぶ。ドゴールは叫んだ。
「従業員名簿を探せ!西6出身の奴を全部引っ張って来い!」
走り去るピエール。ドゴールは思っていた。空を見上げる。
なぜ殺す。なぜだ。なぜだ。早く教えてくれ。お前には俺たちにそれを知らせる義務がある。なぜだ。なぜだ。
ドゴールは雨に打たれ続けていた。パリの雨。それは果てしなく続く雨だった。